知ってるようで知らない「トクホのお茶」の世界 ダイエット効果を出すコツを指南
連載「働く人の食事術」―お腹の脂肪が気になる人の「特定保健用食品」とは
忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。
すっかり、日常生活に定番となった「トクホ(特定保健用食品)のお茶」。コンビニで手軽に手に入れることができるが、「トクホ」とはそもそも何なのか。私たちの健康をどう助けてくれるのか。橋本氏が栄養士の観点からわかりやすく解説する。
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お腹の脂肪が気になる方は、「トクホ(特定保健用食品)」を頼りにされている方がきっと多いと思います。
トクホを簡単に説明すると、食生活を通して健康を保持するために登場した食品。ヒト試験に基づいて、有効性を検証している点が特徴の一つで、健康への効用を示す表現を具体的に表示してよいと、国が許可した食品です。例えばどんな効果が表示されているかというと、「コレステロールが高めの方の食品」「血中中性脂肪が気になる方の食品」「お腹の脂肪、お腹周りやウェストサイズ、体脂肪、肥満が気になる方の食品」などなど。生活習慣病に関わる効果を謳う商品が多くを占めているため、お腹が気になるビジネスパーソンはもちろん、ダイエットに励む女性の心を掴む、キーワードが並びます。
なかでも、多くの方が日常的にとり入れやすいトクホといえば、お茶。どんなに忙しい方でも毎日、続けやすく、表示されている効果や味から、自分にあった商品を選びやすい点が魅力です。気になる効果ですが、商品に含まれる関与成分(体の調子を整える働きがある食品の成分)によって異なるものの、体脂肪を「燃焼・減少する」か糖質と脂肪の吸収を「抑える」かの2つに大きく分けられるようです。
まずは「燃焼・減少する」お茶。こちらは肝臓や筋肉での脂肪の分解・消費を促進し、ついてしまった体脂肪をどんどん燃やしていきましょう、というもの。1日1本、どこかのタイミングで摂ればよい商品が目立ちます。
一方、「抑える」系のお茶は、糖質や脂肪の吸収を穏やかにして、できるだけ血中中性脂肪を蓄えないようにしましょう、という商品。こちらは、体脂肪がつかないよう、1日1本〜3本程度を食事と一緒に摂ることをすすめる商品が多いようです。
トクホのお茶で効果を出すコツ、狙いたい“食事との相乗効果”
トクホのお茶で効果を出すコツは、当たり前ですが、商品説明にある目安量と摂取するタイミングを守り、続けることです。これは、体脂肪量やお腹周りのサイズダウンといった「結果」を期待する上ではもちろん、体調を整えるという意味でも守ってほしい点。飲みすぎると人によっては、お腹がゆるくなる難消化性でんぷん(水溶性食物繊維)が含まれていますので、たくさん飲めばより効果があるというものではないことを忘れないようにしましょう。
また、もともと体脂肪が少ない人や、トクホのお茶を飲んでも追いつかないほどの高カロリー食が続く人、活動量が少ない人は思うような効果は得られにくいでしょう。残念ながら、トクホも「飲んだら痩せる」「食べたら痩せる」魔法の食品ではありません。合わせて、普段の食生活を見直すことで、より効果を期待できます。
例えば、週に3〜4回食べているラーメンや揚げ物を2回程度に減らす、毎日、欠かさず口にするアルコールやチョコ、アイスクリームを1日だけ絶つ、22時以降の食事を1時間早めに食べる、早食いを改めるなどなど、本当に小さなことでOK。せっかくトクホを取り入れるのだから、食事そのものにも目を向けて、相乗効果を狙ってくださいね。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。