ベンチマークにしたのはなんと輸入車!

 注目のハイトワゴン軽自動車、新型ホンダN-WGN。バカ売れN-BOXを送り出しているホンダの新型ということで、否応なしに期待も集まる。今回はそんなN-WGNのあまり知られていない情報を、青山尚暉さんの独自取材を通して6つお届けしたい。

その1 ベンチマークとなったクルマは?

 新型N-WGNを開発するにあたり、ベンチマークとなったクルマは、何と世界のコンパクトカーの基準とも言っていいVWポロ。それも、よりふさわしいコンパクトでホンダの開発陣が走りの良さを認める先代型だ。ちなみに現行フィットのベンチマークも同世代のVWポロ。走行性能のなかでも操縦性の目標としたのだとか。新型N-WGNの走りが素晴らしいのもうなずけるというもの。

その2 後席のかけ心地が軽自動車の域を超えている理由?

 新型N-WGNのシートは基本的にN-BOXのフレームを使っている。しかし、前席はもちろん、後席のかけ心地も抜群で、ドーンと腰を下ろしても底づき感がなく、ゆったりとしたソファ的なかけ心地を実現している。その秘密は、シート表皮の伸び率を25%高め、ウレタンの硬度を5%ダウンさせ、なおかつ、座ったときに硬く感じるフレームを人から遠ざける配置にしてあるから。

その3 ダウンシフト制御のメリットは?

 新型N-WGNには、ジェイドRSやヴェゼルRSに使われている、「ブレーキ制御ステップダウンシフト」を、ぜいたくにも採用している。制御は40km/h以上で入り、通常のブレーキ操作だけでダウンシフト、スムースな減速が可能となる。と、ここまでは周知の情報。

 その分野に詳しい開発陣にそのより効果的な使い方を聞いてみると、まず、パドルシフトでのダウンシフトや、ヒール&トゥのような減速効果を、CVTにして簡単操作で得られるようにしたかったのだという。ただし、あらゆる場面で制御が入るのではなく、山道や高速旋回で入りやすく、またブレーキペダルを2回、ポンポンと踏むことで、ギヤを2段落としたような効果も得られるというから、走りやすさ、安心感に大きく貢献する機能となる。実際、試乗中にも確実な減速効果を体感した。

気になる燃費も実走で確認した!

その4 ラゲッジの2段ラックモードは使いやすいの?

 新型N-WGNのラゲッジルームは耐荷重50kgのボードで上下を仕切った状態が基本。縦方向に広く使えない……とかんじるかもしれないが、実際、ライバルのボードなしのラゲッジルームに常識的な荷物を積むと、ハイト系ワゴンだけあって天井が高く、上部の空間が無駄になってしまいがちだ。

 そこで新型N-WGNはオーナーでさえ一度も使わなかったケースが多いという床下収納を廃止するとともに、ラゲッジフロアの地上高をいきなり180mm下げ、重い荷物の出し入れを容易にしている。そして下段を外から見えないトランク的に使うことを発想。高さは24cmほどだが、実際の使い勝手を詳細に検討し、たとえば2リットルのペットボトル6本入りのケースも横積みすることができる。

 また、ラゲッジルームの横幅は、純正サイズのタイヤ4本を縦に並べられる寸法にこだわったという(ボードは縦に格納)。これは、寒冷地で奥さま(女性)がスタッドレスタイヤを交換するため、タイヤショップを訪れるケースが多いことも理由だそうだ。フロアが低いため、出し入れもラクラクというわけ。ちなみに、N-WGNがもっとも売れている県は新潟県である。

その5 前席に座るとより大きなクルマに乗っている感覚になるのはナゼ?

 その理由はふたつ。ひとつは、とくにカスタムでの感覚だが、シートのかけ心地が高級車並みにいいこと。標準車とカスタムではシートフレームは同一でも、シート表皮の素材、伸び率が異なり、ソファ的なのは変わらないものの、標準車はふんわりお尻が沈み込むタイプ、カスタムはより厚み感あるクッション性を感じられるしっかりしたかけ心地が得られるためだ。

 そしてもうひとつのポイントが、ドアライニングの厚み。これによって横方向にそこはかとない安心感が得られるのだ。室内幅というスペック的には不利になるものの、新型N-WGNでは乗員の安心感、快適度により配慮した、と言える。ちなみに、そこにだわったのは、ホンダの北米向け高級車ブランド、アキュラ出身のデザイナー。なるほど、である。

その6 ターボとNAの実燃費は?

 じつは私、今回の新型N-WGNの試乗会に3日+1日参加。川崎〜木更津間を、東京湾アクアラインを経由し、往復しているのだが、高速道路70%、一般道30%、晴れ、大雨、強風を含む、真夏の天候下での2名乗車、エアコン25度オート、ECON ONの実燃費平均値は、標準車のNAで20.6km/L、カスタムターボで17.4km/Lという、それこそハイブリッド車に並ぶ抜群なものだった。