二盗を決める山田哲。二塁手糸原=神宮

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◆ 山田が33連続盗塁成功のプロ野球新記録を樹立

 3度のトリプルスリーや日本人右打者シーズン最多安打など、これまで数々の大記録を樹立し続けている山田哲人(ヤクルト)が、新たな記録を球史に刻んだ。8月23日の阪神戦、初回に二盗を決め、昨季8月26日のDeNA戦から続く連続盗塁成功の記録を「33」に伸ばし、プロ野球新記録を打ち立てた。

 また、今季の開幕からの28連続盗塁成功もプロ野球記録である。つまり、今季の山田の盗塁成功率は「100%」ということ。リーグトップの盗塁数を誇り、かつ一度も失敗がないというのは、他球団からすれば脅威でしかない。

 では、他の「足のスペシャリスト」たちの盗塁成功率はどんな数字になっているのだろうか。下記は今季15盗塁以上を記録している12選手の盗塁成功率ランキングである。

【2019年盗塁成功率ランキング】※15盗塁以上

順位 選手 盗塁成功率(盗塁/盗塁死)

1位 山田哲人(ヤクルト) 100.00%(28/0)

2位 周東佑京(ソフトバンク) 84.00%(21/4)

3位 外崎修汰(西武) 82.61%(19/4)

4位 金子侑司(西武) 80.00%(36/9)

4位 大島洋平(中日) 80.00%(28/7)

6位 西川遥輝(日本ハム) 79.17%(19/5)

7位 源田壮亮(西武) 77.78%(28/8)

8位 荻野貴司(ロッテ) 77.14%(27/8)

9位 京田陽太(中日) 76.19%(16/5)

10位 近本光司(阪神) 67.57%(25/12)

11位 福田周平(オリックス) 65.85%(27/14)

12位 鈴木誠也(広島) 61.29%(19/12)

◆ 確実性の高い足攻&強力打線で圧倒的得点力を生む西武

 100%の山田に次ぐ数字を残したのは周東佑京(ソフトバンク)。2017年育成選手ドラフト2位でソフトバンク入りし、今季開幕前に支配下選手登録されたばかりの若鷹だ。84%という数字は疑いようもなく立派なものなのだが、山田の数字との大きな開きから、逆に山田の数字だけが異次元だという印象を強めているようにも思える。

 また、外崎修汰金子侑司、源田壮亮の3選手をランキング内に送り込んでいる西武はさすが。今季、ここまで12球団トップのチーム盗塁数を記録する西武は、盗塁数だけではなく盗塁成功率も高い。確実性の高い足攻に加えて12球団トップのチーム打率を誇る打線があるのだから、得点力が図抜けているのも納得である。

 一般的に盗塁成功率は7割を切ると得点期待値が下がるともいわれる。その基準値を切っているのは、先のランキング内では近本光司(阪神)、福田周平(オリックス)、鈴木誠也(広島)の3人。近本と福田はプロ2年目以内の選手である。また、鈴木も早くからレギュラーに定着したものの、この8月に25歳になったばかり。若い3人には、これから技術を磨き、成功率を高めていってほしいものだ。

※数字は8月25日終了時点

文=清家茂樹(せいけ・しげき)