梶が谷の閑静な住宅街に溶け込むような雰囲気の外観/(C)KADOKAWA 撮影= 奥西淳二

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東急田園都市線の梶が谷駅から徒歩2分の場所にある「La Pâtisserie Seri(ラ・パティスリー セリ)」。レンガ調のタイルに緑が温かい雰囲気を醸し出し、訪れる人をほっとさせる雰囲気の店構えだ。

【写真を見る】芹田シェフは一流ホテルで修業を積んだキャリアを持つ実力派/(C)KADOKAWA 撮影= 奥西淳二

オーナーを務めるのは芹田裕二さん。日本を代表するホテル・東京「ホテルニューオータニ」にて22年間にわたり、洋菓子の製造を担当。ホテル内にある「ピエール・エルメ・パリ」にも携わり、2015年に地元である梶が谷で独立開業を果たした。いわば一流と呼ばれるホテルで長年修業していた経歴だけあって、さぞかし洗練されたスイーツが行儀よく並んでいるのかと思いきや、とってもアットホームな店内!

まずお店に入ると、マスコットキャラクターであるクマの「はなちゃん」と「だいごろう」が迎えてくれる。

作るケーキや焼き菓子には、洋酒は一切使わない。店周辺は住宅街で家族連れの客が多いことから「子供や妊婦でも食べられるように」という芹田シェフの優しさが込められている。また、全体的にサイズが大きく、見た目も味も満足感たっぷりなのが特徴的だ。

梶が谷に住む人に受け入れられる商品を展開しながらも、豊富な経験に裏打ちされた確かな技術が随所に散りばめられている。

そんな「ラ・パティスリー セリ」で、この夏特にオススメの生菓子はこちら。

■ 端正に絞られたメレンゲが個性的な「レモンタルト」

なんと、これは「レモンタルト」(480円)。レモンのクリームを入れたタルトの上に、レモンとライムの皮を入れたメレンゲを綺麗に絞って、表面をバーナーで炙っている。

メレンゲを絞ったレモンタルトで高さを出したものは珍しく、芹田シェフのアイディアが光る。以前からレモンのタルトは販売していたが、酸味が尖らないようメレンゲの量を増やして2019年からビジュアルを一新した。たっぷりのメレンゲがまろやかにレモンを包み込み、酸味もマイルドな味わいに。

そのほか同店で必食のスイーツ・ベスト3を紹介しよう。

■ 第3位 味も見た目も唯一無二のオリジナリティを出した「和栗モンブラン」

堂々とそびえ立つビジュアルがインパクト大の「和栗モンブラン」(630円)。天高く絞り出したマロンペーストは愛媛県産の和栗を使用。ほっくりとした栗本来の甘みが凝縮されている。

もう一つ特徴的なのが、土台にガレット・ブルトンヌというフランス伝統菓子のサブレが敷かれていること。土台は一般的にメレンゲやタルト台が多く、ガレット・ブルトンヌが使われているモンブランはなかなか見かけない。バターの芳醇な香りによって贅沢感が増し、さっくりホロっとした食感がアクセントになっている。

■ 第2位 一流ホテルのDNAが引き継がれた「苺ショートケーキ」

修業先である「ホテルニューオータニ」のDNAが色濃く引き継がれた「苺ショートケーキ」(500円)。例えば、生クリームは「ホテルニューオータニ」と同様のものを使用する。開業をする際に様々なメーカーの生クリームを試したものの、脂肪分が高く濃厚でコクがあり、群を抜いた美味しさだと感じたそう。

スポンジはふわっと軽やかで、食べ進めると生クリームと共に無くなっていくさまは幸福感たっぷり。高さが約7cmあってサイズは大きく感じるが、重さを感じないベストバランスに仕上げている。

■ 第1位 クリームの密度に驚かされる「魂のシュークリーム」

ユニークな商品名の「魂のシュークリーム」(360円)。「パティシエが真剣に魂を込めて作った、本気でおすすめの一品」という意味が込められている。

直径約9cm大のクッキーシューの中には、カスタードクリームと生クリームをあわせたなめらかなクリームがたっぷり!思い切りかぶりついてもこぼれ落ちないよう、配合や炊き方を工夫してある。躊躇せず、思い切り食べてみてほしい。そのほかシュークリームの商品は、チョコシュー(360円)も販売。その日の気分で選んでみてはいかがだろうか。

馴染みのある定番ながらも個性が光るスイーツの数々は、何度も足を運んで味わいたくなるはずだ。

【取材・文=磯崎 舞/撮影=奥西淳二】(横浜ウォーカー・横浜ウォーカー編集部)