名門校お受験面接で「奥様とお子様のご家庭での様子」を聞かれた父親の模範回答
【小学校受験のお作法2.0】6月編となる今回は、学校別模試について、そして幼児教室の夏期講習の申し込み事情についてお話していきます。
■学校別模試がスタート、結果よりも重要なことは…
6月に入り、大手の各幼児教室では“学校別模試”がスタート。その結果が芳しくなく、焦っている方も多いことかと思います。
しかし、この時期の模試の結果は、まだ深刻にとらえなくて大丈夫です。得点のピークは11月でいいのですから。むしろ結果よりも、現時点での学校別模試は、“模試”というものに慣れるための機会だと割り切りましょう。問題を解くのに時間制限があるのだという、その“スピード感”にお子様が慣れてくれさえすればよいのです。
もし、面接つきの模試を受けられるのであれば、親子ともに“緊張する空間”というものに慣れるにはよい練習になります。先生方からの質問に対する間合いの取り方、言いたいことを短く完結に伝えるにはどうすればよいのかなど、保護者にとってもいろいろと考える機会になるはずです。
特に、お父様にとっては数少ない練習の場。
社会でいろいろな方々と接してらっしゃるかとは思いますが、よくお母様方から「パパが緊張して、意味不明な回答をしてしまったから落ちた」という愚痴を伺います。
例えば、先日お話を伺ったお母様がおっしゃるには、面接の際にお父様が「ご家庭での奥様とお子様のご様子をお聞かせください」という問いに対し、「妻は優しく、娘は可愛いです」とお答えになったそう。愛情あるお答えだとは思いますが、この質問を通して学校側が聞きたかったのは、“奥様とお父様との関係性、もしくは奥様とお子様との関係性”だと思います。
なんて答えるのがベター?
「妻は子どもに怒ってばかりいますが、子どももなぜ母親が怒っているのか理解し、しっかり向き合っている」、あるいは「正直、妻の頭のなかは受験のことでいっぱいの様子です。しかし、受験と真摯(しんし)に向き合う妻と子どもの姿を見て、自分も応援し、参加したいと思った」といった旨のお答えをなさると、よりよかったのではないかと思います。
一方、お子様が白百合学園に合格された、とあるお父様は同様の質問に対し、
「妻が毎日“忙しい、疲れた”とばかり言っているので、家事と育児だけで何がそんなに忙しいのかと一日の予定を確認しましたところ、子どもを確実に行動させるために、家事の時間配分を分刻みに工夫するなど努力している姿を知り、少し驚きました。
忙しいなか、私のYシャツも毎日しっかりアイロンをかけてくれて、袖を通すたびに感謝しています」と、お答えになったそうです。
お父様の本音と感謝が日常のエピソードとともに語られた、素晴らしい回答だと私も感動しました。
5月編でも申し上げましたが、小学校受験ではお父様の関わり方が重要となってきます。しかし現実は、お母様主導で受験をはじめ、お父様はお母様に言われるがまま“やらされている”状態のご家庭がほとんど。
これは、不合格への一歩となってしまいます。
私立小学校の場合、多くの行事が両親ともに参加するものでありますし、お父様だけが参加する行事があることも。お子様だけでなく、学校側は“学校に関心を持ち、子育てに参加し、協力する”――そんなお父様像も求めているわけです。両親のみの面接を設定している学習院などがその代表例ですね。少し古いとお思いになるかもしれませんが、学校側は一家の大黒柱である、お父様の考えを聞きたいのです。
大手の幼児教室では、父親講座もあります。また、季節講習会には保護者向けの授業もありますので、模試とともにぜひともお父様にも参加してほしいですね。
■夏期講習の申し込み事情と心構え
6月には各幼児教室の夏期講習の申し込みも始まります。
お教室によって申し込み期限は異なりますが、大手教室の『ジャック幼児教育研究所』の場合、申し込み開始時期が非常に早いです。
志望校別のクラスはもちろん、ペーパー特訓など人気の講習はすぐに満席となってしまいますので、とりあえず申し込みをし、入金を完了しておくのが得策だと思います。
また、大手教室の場合、夏休み前半の学校別授業を受けてみて、志望校が変わった際には他の講習に変更も可能です。返金はありませんが、空きがあるクラスへの変更なども相談に乗ってくれますので、大手のお教室のメリットを最大限に活用していただきたいです。
そして、これは夏期講習に限った話ではありませんが、講習を受けたら、そこで学んだことをご家庭で共有し毎日、小さな目標を立ててみることが何より重要です。
例えば、女子校向けの講座では、お友達を上手に誘えているか、グループでの決めごとで自分の意見を言えているか、自分の意見を無理やり押し通そうとしていないかなど、自由遊びの時間を設けてお子様たちの様子を見る“行動観察”の授業があります。
もしそこで、お友達との関わり方がうまくいっていないようであれば、ご家庭で公園や児童館などに連れていく回数を増やし、“知らないお友達と上手に遊べるようになる”よう、上達する機会を作ってあげましょう。その際に大切なのは、いきなり高い目標を設定するのではなく、小さな目標をひとつひとつクリアすること。
小さなステップ(階段)を着実に、二段跳ばしはしないで、毎日踏みはずさず、確実に丁寧に身につける。これがステップアップの基本となります。講習会や模試は、あくまでもそのための“ツール”にすぎません。
<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design