先輩女子からの職場いじめが、ピタッと止まった「ある嘘」とは
 大人になったからといって、いじめにあう可能性がなくなったわけではありません。

 職場やご近所、ママ友グループなどでいじめのターゲットにされてしまうのは、誰にでも起こりうることです。

◆入社直後から先輩女子グループのいじめのターゲットに

「最初に就職した会社で20代後半の先輩女子社員3人からいじめを受けていました。

 イヤミは言ってくるのにこちらからあいさつすると無視したり、取引先から会社にかかってきた自分宛の電話を取り次いでくれない、仕事を終業直前の夕方になって一方的に押し付けてくるといった嫌がらせが毎日のようにありました」

 職場で受けたいじめ被害について語ってくれたのは、山下舞子さん(仮名・29歳/生活用品メーカー)。なぜいじめを受けるようになったのかは分からないそうですが、本人は「おとなしそうなキャラに見えて、それで標的にされたのかも」と分析します。

「就職したばかりでしたし、同期や年齢の近い人が誰もいない営業所の配属だったから最初はおとなしくもなるじゃないですか。

 それに先輩女子たちも20代後半なのに見た目もギャルっぽく、昼休みに聞こえる会話も合コンした男子についてや好きなブランドの新作モデルがどうとかって、個人的にはどうでもいい内容ばかり。

 私が会話に加わらず、ちょっと距離を置いていたことも気に入らなかったのかもしれませんね」

 ただし、いじめに辟易(へきえき)してはいましたが、耐えられないというレベルではなかったようです。

「男性社員や、女性でももっと年上の方は普通に接してくれて、孤立しているわけではなかったんです。ただ、先輩女子たちは陰で私に嫌がらせをしていたため、周りは気づかなかったと思います。

 私も迷惑をかけたくなくて、いじめのことを黙っていましたから」

◆友人のハッタリが転機に?

 けれども、舞子さんが受けていたいじめは、本人も予想していなかった“ある嘘”がきっかけで止んだといいます。それは彼女が学生時代の友人たちと飲みに行った帰りに起こった出来事でした。

 ある晩、会社の最寄り駅近くの居酒屋で飲んでいたそうですが、お店を出たあと、先輩女子グループのなかでも率先していじめを行っていたボス女子とばったり遭遇。向こうも仕事帰りに友達と飲みに行っていたらしく、舞子さんを見つけるなり声をかけてきたそうです。

「一緒に飲んでいた友達(男子)は結構なイケメンだったせいか、普段と違ってなれなれしい態度でした。けど、私は先輩と一緒にいるのが嫌だったのと、その日の飲み会はもうお開きだったので一応形ばかりの挨拶をして私だけその場を離れたんです。

 でも、先輩は友達をしつこくカラオケに誘おうとしたしたらしく、そこで友達もムカついて嘘をついたらしいんです」

 ちなみに男友達が発した嘘とは、「アイツ(=舞子さん)、親がカタギじゃないんで、いじめとか止めたほうがいいですよ。若い衆もいるんで」というもの。

 彼女もしばらく後になってそのことを知ったそうですが、どうやらこの一言でボス女子がビビッてしまい、職場でも近づいてくることはほとんどなくなったとか。

◆勝手に自滅した先輩女子たち

「私の父親はある伝統工芸の職人で、お弟子さんといえるような若い見習いの職人の面倒も見ています。まあ、普通の仕事とはちょっと違うので『カタギじゃない』っていうのはあながち嘘ではないのですが……。

 先輩はアウトローだとカン違いしたようですけど、べつに正直に事実を説明する気にもなれなかったので、私が転職するまでの2年間、そのまま放置しておきました(笑)」

 男友達は舞子さんとボス女子のやりとりを見て、彼女がいじめの主犯だと確信。友人である彼女をいじめているくせに自分へ色目を使ってきたことにムカついたそうで、それで「一発かましてやった」と打ち明けられたそうです。

「そんなことしなくてもよかったのにとは言いましたが、彼のおかげでいじめがなくなったのでそこはお礼を言いました。やっぱり持つべきものは友達ですね」

 この友達のやり方にも問題がありますが、彼女をいじめから守ろうとした姿勢は立派。もし周りでいじめられている人がいたら見て見ぬフリをせず、自分にできる範囲で手を差し伸べてあげてはいかがでしょうか。

―シリーズ「いじめ」―

<文/トシタカマサ イラスト/ただりえこ>

【トシタカマサ】
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。