1月20日に召集された通常国会で、インターネットを利用した選挙運動を認める公職選挙法改正案が提出される予定になっている。インターネットがかなり日常生活に密着した存在となった現在では、今さらという感じも否めない。それにしても、今回の改正で一体何がどう変わるの・・・?

 そもそも現在、公職選挙法で禁止されているのは、次のような行為について。
・候補者名や政党名が入ったホームページやブログの新設・更新
・選挙情報が入ったメールマガジンの配信
・選挙情報が入った電子メールの配信
・ホームページへのマニフェストの新規掲載
 それぞれ、告示・公示後の選挙期間中には行ってはいけないことになっている。

 このような内容を見直す声が高まったのは、インターネットを利用することで、立候補者の情報の充実、若者に対する政治参加の促進、選挙資金の削減などの効果が期待できるというのが大きな理由だ。昨年の衆院選では、公示と同時にホームページが停止状態になり、各党への問い合わせなどが相次いだ。有権者側にとっても、インターネットを通じて立候補者についての情報を集められる方が便利だということなのだろう。

 今回の改正案では、まずブログ・ホームページの更新が解禁される。この改正への動きに関しては野党などからの目立った反対もなく、成立する見通しだ。電子メールについては、成りすまし行為も考えられるため、今回の改正案には盛り込まれないことになっている。

 ただ、インターネットが解禁されることで、今後解決していかなければならない多くの課題も残っている。既にホームページ更新による誹謗中傷の増加を懸念する声も多く、対策が急務。さらに、ホームページ作成を外部発注することが増えると考えられ、多くの資金を投入する可能性もある。さらには、ネット広告、寄付金集めなどに利用することもできるため、その辺をどのように規制していくかも問題だ。

 解禁は前進といえるが、あまりにもインターネットで行える行為の範囲が広いため、専門的な知識を持った人たちが知恵を出し合っていかなければ、ネットを有効活用したクリーンな選挙を行うことは難しそうだ。(石橋夏江/verb)