AIは、急速にあらゆる場面で利用され始めている。その中で、「性」の分野でも応用が研究されている。現代の若者の中には、人間同士の直接の触れ合いを「不潔」と感じている向きも多くなった。そのため急速に少子化が進み、社会の成り立ちそのものが危ぶまれる事態に日本が陥っている。中国も近い将来、少子化の問題に向かわねばならない。

 この分野では正確な理解がなされないまま時が過ぎており、AIテクノロジーが役に立つのであれば、研究を進めるべきなのであろう。

■「性の公共」

 『AIは心を持てるのか?』の問題が議論されているが、これは当分難しいのが現実であろう。それは、セクサロイドは人間の性愛を完全には再現できないことを表している。しかしそれに等しい満足を、人間に与えることは可能性が高いと言えるのであろう。つまり大量のデータ(おそらくは100万程度)を学習し、人間にそれなりの満足感をあじあわせ、「子づくり」も手伝うことが出来るようになる可能性は高い。

 本来、社会的背景としては「子供は社会の宝」との認識が必要で、「子育ては社会が行う」が当然とならねばならないのであろう。またセクサロイドは、「倫理的に問題だ」とする意見が当然出でるのだが、一方で、セックス産業の裏側を解消してくれることも期待できる。少子化に公共の利害が絡んでいるので、「性の公共」の概念を持つ必要が出てきている。

■「教師データ」

 セクサロイドの開発について問題となるであろうことが、「教師データ」だ。「アダルトビデオ」のデータでは偏りが激しく、問題が出る可能性がある。AIは過去のデータで「勉強する」のであって、その「教師データ」が過違った方向を示すと、AIも偏ってしまうことになる。現在、使い物にならないAIが多く出ていると言うが、「教師データ」の取り方に問題があることが多いはずだ。

 現実にセクサロイドを育てるとすると、100万もの教師データを示す必要があり、なんらかのシミュレーションデータの利用が必要になるのだろう。AI自動運転においても、「ビッグデータ」を持っている者が開発に成功できると言われており、このデータの多くをシミュレーションにより作り出すことが望まれている。しかしセクサロイドに与えるべき教師データは、自動運転よりもさらに複雑なデータの必要性があると考えておくべきであろう。それは「人間の“機微”を再現する」必要があるからだ。

 さて、皆さんは「セクサロイド」に賛成するのだろうか?