人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、峯尾太郎社長)がまとめた「DODA 転職求人倍率レポート」によると、2018年12月の転職求人数は前年同月比5.5%増、転職希望者数は同21.6%増となった。

 求人数は前月比0.2%減、前年同月比5.5%増、転職希望者数は前月比5.6%減、前年同月比21.6%増だった。

 求人倍率は前月比0.13ポイント増、前年同月比0.38ポイント減の2.49倍だった。

 求人数は、年末の繁忙期で新たに求人を始める企業が少なかったため、前月比99.8%の微減となった。2018年11月から2カ月連続の減少となったが、減り幅はわずかで、過去最大級の水準で横ばいとなっている。

 転職希望者数は、例年11月の転職希望者数の90%ほどとなるが、今年は94.4%と減少幅が小さく、12月に入っても多くの人が転職活動をしていたことがうかがえる。

 求人数、転職希望者数ともに11月を下回ったが、転職希望者の減少幅のほうが求人数の減少幅よりも大きかったため、求人倍率は上昇した。

 業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「IT・通信」のみ増加した。

 「IT・通信」では、システムインテグレータやWebサービス・Webメディアでの採用が活発となっている。システムインテグレータでは、AIやIoT、RPA(Robotic Process Automation)といった技術を活用する企業が増えているため、それに伴うサービスを提供する企業で求人数が増えている。Webサービス・Webメディアでは、新サービスのリリースや拡充のため、営業やエンジニアなどの採用が活発だ。

【業種別 求人数増加率(前月比)】
IT・通信  6.2%増
金融    0.6%減
メディア  0.9%減
サービス  1.4%減
メーカー  2.8%減
商社・流通 3.2%減
メディカル 5.2%減
小売・外食 7.7%減

その他   5.9%減 職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「事務・アシスタント系」、「技術系(IT・通信)」、「技術系(メディカル)」、「専門職」の4職種で前月から増加した。特に伸びたのは、「事務・アシスタント系」(前月比6.0%増)、「技術系(IT・通信)」(同4.8%増)。

 「事務・アシスタント系」では前月に引き続き不動産や金融業界で採用が活発で、営業事務・一般事務・受付などの求人が特に増えている。求人数は前年同月比でも137.7%と伸びており、事務職を希望する人にとっては応募する求人の選択肢の多い時期となっている。

 「技術系(IT・通信)」では、ITエンジニアの採用が活発となっている。事業会社がIT投資に積極的で、自社内でベンダーコントロールを行う社内情報システム(社内SE)を増やしているほか、ビッグデータ活用の基盤を整えることが喫緊の課題となっている企業も多く、インフラエンジニアの求人も増加が顕著だ。

【職種別 求人数増加率(前月比)】
事務・アシスタント系6.0%増
技術系(IT・通信) 4.8%増
技術系(メディカル)1.6%増
専門職       1.5%増
技術系(化学・食品)0.7%減
企画・管理系    1.3%減
技術系(電気・機械)1.3%減
クリエイティブ系  1.7%減
技術系(建築・土木)2.4%減
営業系       2.6%減
販売・サービス系  5.3%減

 今後の転職市場についてパーソルキャリアでは、「企業の中途採用への期待は引き続き高く、4月入社に向けた採用がピークとなるため、1月は求人数が増加する」とみている。

 また、その後の動向については「ここ数カ月求人数は横ばいが続いているが、10月に最高値を更新以降、踊り場の段階にある。今後の経済動向次第では4月以降の採用計画を変更する企業も出てくる可能はあるが、しばらくは過去最高水準の求人数が続く見込み」とした。