人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、峯尾太郎社長)がまとめた「DODA 転職求人倍率レポート」によると、11月の転職求人数は前年同月比5.9%増、転職希望者数は同10.5%増となった。

 求人数は前月比0.3%減、前年同月比5.9%増、転職希望者数は前月比10.9%減、前年同月比10.5%増だった。

 求人倍率は前月比0.25ポイント増、前年同月比0.10ポイント減の2.36倍だった。

 11月も引き続き求人数は多かったものの、前月が下半期の初月で採用予定ポジションの募集を始める企業が多かった反動で、前月比99.7%と微減となった。転職希望者数も10月に大きく増加していた反動で、減少した。

 求人倍率は前年同月比で0.10ポイント減となったが、これは転職希望者が増え続けていることが要因で、求人数は前年同月比5.9%増、転職希望者数は前年同月比10.5%増と、ともに前年を上回っており、転職市場の活況は続いている。

 業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「金融」、「メディカル」、「メーカー」の3業種で増加した。特に伸びたのは、「金融」(前月比8.1%増)、「メディカル」(同1.5%増)。

 「金融」では、生命保険会社で営業職や事務職の採用が活発となっている。また、フィンテックに力を入れる企業が多く、子会社を設立してさまざまな職種で増員しているケースやWeb、システム関連の採用を増やしているケースなどがある。

 「メディカル」では、医療機器メーカーの営業職やCSO(医薬品販売業務受託機関)でのMR職、CRO(開発業務受託機関)でのCRA(モニター職)などで求人数が増加した。CSOのMR職は2017年に入って求人数が減少傾向だったたが、製薬会社からのニーズの高まりにより、直近は増加傾向に転じつつある。

【業種別 求人数増加率(前月比)】
金融    8.1%増
メディカル 1.5%増
メーカー  0.9%増
小売・外食 増減なし
サービス  0.2%減
メディア  0.6%減
IT・通信  2.5%減
商社・流通 7.0%減

その他   3.9%減 職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「事務・アシスタント系」、「販売・サービス系」、「技術系(化学・食品)」、「技術系(電気・機械)」、「専門職」、「技術系(IT・通信)」、「技術系(建築・土木)」の7職種で前月から増加した。特に伸びたのは、「事務・アシスタント系」(前月比3.5%増)、「販売・サービス系」(同3.1%増)。

 「事務・アシスタント系」では金融や不動産業界で求人数が増えており、正社員での募集を行う企業も増加傾向にある。前年同月比でも17.1%増と求人数が伸びており、中小企業で正社員の事務職の求人の増加が目立つ。

 「販売・サービス系」では、コンビニエンスストアや通信キャリアでの採用が引き続き多いほか、カーシェアや生命保険の求人数も増加した。

【職種別 求人数増加率(前月比)】
事務・アシスタント系3.5%増
販売・サービス系  3.1%増
技術系(化学・食品)2.8%増
技術系(電気・機械)1.7%増
専門職       1.4%増
技術系(IT・通信) 0.7%増
技術系(建築・土木)0.3%増
クリエイティブ系  0.3%減
企画・管理系    2.1%減
営業系       4.2%減
技術系(メディカル)5.7%減

 今後の転職市場についてパーソルキャリアでは、「12月以降も求人数は増減を繰り返しながらも、緩やかに増加していく」と見込んでいる。「増加幅は緩やかだが、注力事業への増員や事業課題の解決を担う人材を補うなど、中途採用を行うことで事業拡大を図る企業が多く、採用への意欲は高い状態が続いている」とした。