カメラのキタムラから首都圏最大級のブライダルフォトスタジオへ 櫻井均氏の「おもてなしの心」と写真へのこだわり

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櫻井均(さくらい ひとし)氏 51歳。 
「カメラのキタムラ」で知られる株式会社キタムラの常務執行役員を2017年に退任。
2018年、株式会社Mクリエイティブワークス 代表取締役社長に就任し、首都圏最大級の「LUMINOUS tokyo(ルミナス東京)」をオープンさせた。

「LUMINOUS tokyo」は都心から約10分。
東京お台場 テレコムセンター東棟内にあるウェディングフォトスタジオである。
しかし、「LUMINOUS tokyo」は世間によくあるフォトスタジオではない。
約200坪のスタジオ内に用意された撮影セットは、なんと28。

それらの撮影セットを駆使して、まるで映画のワンシーンのような写真が撮影できるそう。
さらに、常駐するウェディングプランナーによるおもてなしサービスで、従来のフォトスタジオにはない、最高の花嫁体験が実現できるという。


「LUMINOUS tokyo」 スタジオ内の撮影セット


■結婚式を挙げる人は50% 新しいブライダルマーケットを切り開く


株式会社Mクリエイティブワークス 代表取締役社長 櫻井均氏


櫻井均氏は、なぜウェディングフォトスタジオ「LUMINOUS tokyo」を始めたのか?

櫻井均氏
「カメラのキタムラの常務を退任した当時、辞めることだけ先に決めていました。
次に何をしようかというときに、
(Mクリエイティブワークスの)親会社メイション社長の近藤から何か一緒に事業をやりましょうと声をかけられました。」

株式会社メイションは、スマートに、つまり賢く結婚式を実現する「スマ婚」事業を展開しており、Mクリエイティブワークスの親会社にあたる。

櫻井均氏
「自分の良く知る写真、そして、メイションの得意領域のブライダルは、相性も良いので、そんなブライダルマーケットで、新たな分野を開拓できないか、と考えたのが、この事業のきっかけでした。」


そして、そんな櫻井均氏がウェディングフォトスタジオ「LUMINOUS tokyo」をスタートさせるにあたって、重要なパートナーの存在があった。それが取締役の山口大輔氏との出会いだ。

櫻井均氏と山口大輔氏は、メイションのオフィスでたまたま隣の席だったそう。

ウェディングフォトスタジオ「LUMINOUS tokyo」は、この2人の出会いから誕生した。
・カメラ事業のスペシャリスト
・ブライダル事業のスペシャリスト
この2つの個性とスキルが出会ったのだ。

2人がブライダルマーケットについて考えて導き出したのが、新しい結婚の形、ウェディングフォトスタジオ「LUMINOUS tokyo」だったという。

櫻井均氏
「今、ブライダルマーケットは約60万組のカップルがいらっしゃって、約50%しか結婚式を挙げていないんです。

結婚式のビジネスで約30万組、
結婚式のないビジネスで約30万組
なのです。

ですが写真だけは、どちらにも使っていただける。
約60万組の新郎様新婦様がすべて対象となります。

そういうブライダルマーケットだからこそ、チャンスがあるのではないかとマーケットを分析しています。」


■高品質の写真と、高品質のサービスをリーズナブルに提供

たくさんの花に囲まれて撮影できるセット(写真提供:ルミナス東京)


「LUMINOUS tokyo」の特徴は、
・高品質の写真
・高品質のサービス
をリーズナブルな価格で提供している点だ。


■映画のヒロインになりきれる 28の撮影セット

アジアンテイストなシチュエーション(写真提供:ルミナス東京)


「LUMINOUS tokyo」には、約200坪のスタジオ内に28もの撮影セットがある。
これらを使うことで、映画のワンシーンのような瞬間も撮影できる。

・ウェディングチャペル
・欧州のホテル
・中世の貴族の館を思わせる大広間や大階段
・アーティスティックな路地や街並み
など、まるで映画の主人公になったような体験ができる。

櫻井均氏
「エキゾチックでアーティスティックな写真を海外では撮れても、日本では恥ずかしい。
そういうものを日本でも撮れたら、そう考えました。

また、実際の挙式は行っておりませんが、教会の撮影セットがあるので、教会で結婚式を挙げられなかった方々、挙げなかった方々も結婚式の写真を残すことができます。

いずれのケースの新郎様新婦様にも、
楽しく快適な撮影をご体験いただき、挙式シーンの入ったアルバムを残すことで、

たとえば、将来、お子様に『お父さんとお母さんの結婚式だよ』と見せてあげられることもできる。
また、お二人のご結婚の一日を、
挙式のワンシーンを、残すことができます。
そういう想いも込めて、教会の撮影セットは作りました。」


奥の部屋には挙式シーンの撮影ができるセットも


ほかにも、スタジオでの撮影は、
とても室内とは思えない、自在に光をコントロールした完璧なライティングで
最高の1枚を撮影するという。

撮影された写真は、さらにプロの手による高度なレタッチ処理も行われる。
画像のみでなく、肌を綺麗にしたり、腕やウエストを痩身したりと、
修正を施してもらえるそうだ。

櫻井均氏は、「花嫁様にご満足いただけるブライダル写真」を提供したいという。


■「おもてなしの心」を学ぶ接遇研修! すべてはお客様のご満足のために
「LUMINOUS tokyo」が、一般のフォトスタジオと一線を画すのが、接遇サービスだ。
接遇サービスとは?
接客のように必要なサービスを単に行うのではなく、お客の希望や要望を満足させる「おもてなし」により「特別な一日」を提供するサービスのこと。

櫻井均氏
「接遇はミスユニバースの専任講師でもある戸松晃子様(ウェリナレイ株式会社代表)にお願いしています。
ホテルと同じように接遇ができるよう、カメラマン、メイクも含めて、全スタッフに受講してもらっています。
ですから、スタジオ内では、カメラマンも、スーツ姿で撮影しています。」

「LUMINOUS tokyo」のスタッフは20代も多く、スタジオを利用する人と同世代。
社内の研修により「おもてなしの心」を学んでいるという。

櫻井均氏
「(LUMINOUS tokyoに)ご来館いただいたお客様にあらゆる部分で撮影を楽しんでいただきたいので、細部にもこだわっています。

例えば、メイクルームのライトは女優ライトというものを用意しています。
光を均等にあてることで花嫁様のお化粧が映えます。
また、そうした光を浴びることで、花嫁様の気持ちも盛り上げていただきます

接客も一流ホテルと同じような対応を、女性スタッフが行います。
(LUMINOUS tokyoでは)新郎様新婦様以外の出席者はいらっしゃいません。
ですが、それ以外は、あたかも結婚式を執り行うような雰囲気で、
すべてが進行していくスタジオになっています。」


■適正価格のアルバムを! 「正直」にこだわる

アルバムへのこだわりについて語る櫻井均氏


櫻井均氏
「本当に、良質なサービスを適正価格で販売したいと考えました。
オプションを増やして、単価を上げるのでなく、
良質な撮影体験を、そして、最高品質のアルバムを。
今の日本人は目が肥えてきているので、そうした正直な、ストレートなサービスが
理解されるのではないかと。

成果物であるアルバムも、
ポスターライクでエレガントな写真なので、A4サイズでは迫力が伝わらない、
人物が凄く小さく見えてしまうんです。
ですから、アルバムはA3サイズのみとしています。

アルバムのバリエーションも、表紙にアクリルの物もご用意したかったのですが、そういう風にオプションを増やしていくと、通常のプラスオンの商売になってしまう。
なので、やめました。
(LUMINOUS tokyoでは)そういったものをすべて排除したいと考えました。」

櫻井均氏は、『本物はこれだ!』という信念で、大きなA3サイズのアルバムにこだわっている。バニラアイスしかないアイスクリーム屋のように、シンプルかつ正直なビジネスをしたいと、笑いながら語ってくれた。


アルバムはA3判のみ。オプションは用意されていない(写真提供:ルミナス東京)


「LUMINOUS tokyo」の価格は、適正価格があらかじめ提示されている。
いわゆる明朗会計だ。ちなみに写真のレタッチでは、追加料金は一切かからないという。
・アルバム(18ページ) 280,000円
・アルバム(28ページ) 350,000円
・アルバム(40ページ) 400,000円
・画像データ      100,000円
アルバムはA3判のみ、写真は光沢とマットのいずれかを選べる。


最後に櫻井均氏は、
LUMINOUS tokyoのビジネスは、ブランドさえ確立できれば、都市部でなくても成立すると語った。今後は、LUMINOUS tokyoのビジネスで得たノウハウを活かし、都会の中のLUMINOUS tokyoとは違う体験、たとえば、人里離れた森の中の洋館で撮影する体験などのサービスも考えてみたいという。

studio LUMINOUS tokyo


執筆:ITライフハック 関口哲司
撮影:2106bpm