1アシストで勝利に貢献したFW久保建英 【写真:ⒸAFC】

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U-19アジア選手権準々決勝で開催国インドネシアに2-0勝利、久保は追加点を演出

 影山雅永監督が率いるU-19日本代表は、28日に行われたU-19アジア選手権の準々決勝で開催国インドネシアと対戦。

 約6万人の対戦国サポーターに囲まれた“完全アウェー”、さらに試合の途中から降り注いだ豪雨のなかで粘り強く戦い、2-0と勝利して来年ポーランドで行われるU-20ワールドカップ(W杯)の出場権を見事獲得した。

 スコアが動いたのは前半40分だった。DF東俊希(サンフレッチェ広島ユース)が決めた約30メートルの左足ミドルシュートは、影山監督や本人も”スーパーゴール”と評したもので、大雨のなかで後半20分にインドネシアを突き放す2得点目も見事だった。試合を決定づける追加点を決めたのは大会4得点目のFW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)で、アシストはFW久保建英(横浜F・マリノス)だった。

 右サイドで久保がボールを持つとタイミングよく動き出す宮代にパス。そこから久保もさらに縦に動いてワンツーのリターンを受けると、ペナルティーエリアの右側に寄せてきた相手二人の合間に左足でポンとボールを供給。ちょうどディフェンスのギャップに入り込んだ宮代は左足でボールをコントロールすると、右足でゴール左に蹴り込んだ。

「(上手く)足には当たってなかったんですけど、自分も点を取ってチームを勝たせる気持ちが強かった。それが結果に出たのかな」


6万人大観衆の完全アウェー 久保は「厳しかったです」と語った一方「楽しかった」

 そう宮代が振り返るゴールをアシストした久保は「(寄せてきた)相手二人の動きを見ていたというよりは、二人の間から大聖が見えたタイミングで出した感じですね」と振り返るが、試合の流れで感じていたイメージがあり、それが生きる形となった。

「あの前から本当に何回も、大聖とボールをつなぎながらというのがあって、自分の方にマークが増えたら大聖が逆に戻して。(齊藤)未月が俺のところに集中するだろうから、簡単に離してまたもらった方がいいよと言っていたので、それが効果的に出たかなと思います」(久保)

 この日2トップを宮代と組んだ久保だが、後半19分に左サイドハーフのMF安部裕葵(鹿島アントラーズ)に代わりFW田川亨介が途中出場。右サイドのFW斉藤光毅(横浜FCユース)が左に回り、久保は右サイドハーフにポジションを移していた。基本的なポジショニングも変わったが、宮代との関係をイメージしていたことが貴重な追加点のアシストとして実った形だ。

 そんな久保にとってもスタジアムの雰囲気は難しいものだったようだ。試合前には「自分たちから厳しいと思わないようにしたい」と語っていた久保だが、いざ6万人の大観衆による完全アウェーを体感すると「厳しかったです」と振り返る。ただ、そうした雰囲気でもちょっとしたプレーに沸く雰囲気は「楽しいですね、あっちの方が。バーって盛り上がって」と明かしている。


久保も現地の雰囲気に衝撃 「みんなスピーカーでも持ってんのかってくらい」

「本当に最初はなんか、みんなスピーカーでも持ってんのかってくらいですね。なんか本当に、日本の応援とは違って、みんな声がでかいみたいな。どこがゴール裏か分からないくらい声がでかかった」

 そうした難しい状況、しかも途中から大雨が降り注ぐ状況を乗り切って勝利に結びつけたことは、この年代の選手にとって非常に大きい。久保も「完成形ではないと思いますけど、なっているからこそ今日のような試合ができたんだと思う」とチームのレベルアップを認める。

「ちょっとハイライトとかを見ても、(齊藤)未月くんなんかがすごく絡んでいたり、(谷)晃生のビッグセーブがあって、苦しい時間帯があって、取りきってくれると前も頑張ろうというふうになるので、そこは一心同体だと感じますね」

 もちろん久保の戦いもU-19日本代表の戦いもここで終わるわけではない。「とりあえずまだこのチームが解散しないというのはいいことですけど、すぐ次に切り替えて、次の目標が優勝というところなので、まず一つ目の目標をクリアして、二つ目の目標に入れば」と久保は前を向く。


U-20W杯出場を決めて久保が「改めて感じる」と語ったのは? 「やっぱり…」

 2世代“飛び級”で前回のU-20W杯を経験した久保は「今日の試合が終わった後で改めて感じるのは、やっぱり勝たなきゃいけない」という気持ちを再確認した。

「チャンスがあるなかで、どうなるか分からないですけど、自分は絶対に勝つつもりで挑んで、そのために次の試合に向かっていく」

 U-20W杯の出場権は獲得した。次は“アジア王者”として2度目の世界挑戦へ。ここで立ち止まっているわけにはいかない。


(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)