横浜市の「ハマ弁」ってなんだ!? 中学校向けの弁当、その狙いと展望は
日本全国、学校を眺めてみると、給食のある学校もあれば弁当を持参する学校もあったり、はたまた弁当の宅配をしてくれる学校もあるなど、その扱いは様々だ。
神奈川県横浜市では、中学校向けに「ハマ弁(横浜型配達弁当)」なる弁当がある。一体、どういうものなのだろうか。
「ハマ弁」とは何ぞや(「ハマ弁」の紹介動画より)
ごはんとおかず、汁物・牛乳で340円
横浜市の市立中学校では、業者の弁当と家庭の弁当のほかに、市教育委員会が運営する配達弁当事業「ハマ弁」がある。2016年7月1日から一部の学校で、17年1月から横浜市内の全市立中学校で始まったものだ。
ハマ弁は、ご飯の量(大盛り・中盛り・小盛り)のほか、メインのおかずを肉中心のAと魚中心のBの2種類から選ぶことが出来る。加えて、温かい状態でご飯と汁物が提供されるのも特徴で、教育委員会の栄養士による管理のもと、栄養バランスに配慮された献立が用意されている。「ハマ弁」の公式サイトでは、毎日の献立の確認ができる。
価格はごはんとおかずで280円から。汁物が30円、牛乳が60円となっており、全て頼んでも340円となる。この値段は18年4月の値下げ後のものであり、記者の見立てながら、おかずの豊富さを思えばかなりリーズナブルな印象だ。
実際、どんな狙いで導入されたのだろうか。Jタウンネット編集部の18年5月25日の取材に、横浜市教育委員会の担当者は、
「以前から横浜市の人口は多く、学校においてはどうしても昼食に関する施設より、教室などの教育に関するスペースが拡充される傾向が強く、家庭から弁当を持ってくることが一般的でした。ただ、共働き世帯の増加などから、家庭で弁当を作ることが難しくなっていることを鑑み、横浜市として何か取り組めないかと考え、14年に『ハマ弁』を導入することで決まりました」
と説明。給食センターからの配送や学校での給食室の設置、近隣の学校からの配送といった方法も検討されたものの、予算やスペースの不足や早期実施の難しさから「ハマ弁」を採用することとなったとしている。業者の弁当を補完する選択肢を増やすことで、中学校給食を充実させたい狙いがあるといい、
「業者による弁当は栄養バランスに偏りが生まれることもありますが、『ハマ弁』は栄養バランスも考えられている点で、違いはあると考えています」
という。
利用率の低さ、思春期ならではの理由も?
ただ、その利用率は2018年4月時点で1.7%にとどまる。担当者によると「ハマ弁」実施前のアンケートで20%程度の人が「利用したい」と答え、ニーズはあるというが、一部の報道では多額の市税が用いられていることが問題視されている。
担当者は利用率が低い原因について、
「もともと家庭弁当の持参率が高いというのもあり、周りの人と違う『ハマ弁』を食べるというのは思春期の中学生にとって抵抗感があるというのがまず1点あると思いますね。そのほかにも、注文を当日に行うことが出来ない点でも、利便性が低いという問題点はあります」
と語る。インターネットで注文する場合、配達日の7日前までに行わなくてはならず、「当日に注文したい」という声が相次いでいるという。そのため、
「今後は当日注文も含めた注文方法の改善を行う予定です。他にも、衛生上の問題からおかずが冷たくなっていまして、冬場に温かいものを提供できるような体制作りを考えていきます」
と、今後も利用率の向上に力を入れていきたい姿勢を示した。