久大本線、異例の早さで全線復旧へ 九州北部豪雨から1年、当初は3年の予定だった
JR九州の久大本線が2018年7月14日、全線運転再開される。
同線は、九州北部豪雨の影響で17年7月5日から光岡駅から日田駅間で運転を見合わせていた。約1年ぶりの運転再開の過程に、一体どんな苦労があったのだろうか。Jタウンネット編集部は18年5月7日、大分県の交通政策課の担当者に話を聞いた。
7月14日に久大本線で全線運転再開へ(画像はプレスリリースより・以下同)
橋梁流出、ケーブル断線...
「復旧までは、当初3年予定といわれていたんです」
と、担当者は話し始めた。
17年7月5〜9日の九州北部豪雨では、307件の土砂災害が発生したほか、死者37人、行方不明者4人を出した。
また、福岡県朝倉市朝倉や、大分県日田市日田の24時間雨量は観測史上1位を更新し、その影響で久大本線では、花月川の橋梁が流出したり、信号関係のケーブル断線などの被害が起き、運転見合わせを余儀なくされた。JR九州管内では5日間で計16路線・1516本が運休、約30万人に影響が出たとされている。
当時の被害の様子。線路が折れ、橋梁が跡形もなくなっていることがわかる
久大本線は、由布院温泉で有名な由布市を通る路線として知られる。そのため、久大本線などを走る特急列車「ゆふいんの森」の利用率は、前年(17年)比で56%と、約半分程度まで落ち込んだ。
「大分県としては、早い段階での運転再開を求めて、JR九州への働きかけを行ったほか、河川工事であったため、国への働きかけも行い、特別に配慮していただきました。また、日田祇園祭も7月にあるため、ご利用者数が増える夏休みの前に復旧してほしい、ということも伝えておりました」
と、各所への働きかけで約1年という異例の早さでの復旧に至ったとしている。「クルーズトレインななつ星in九州」が、3月28日には8か月ぶりに由布院駅に停車するなど、徐々に復旧が進みつつある。
今回の完全復旧に先立ち、JR九州などでは「久大本線 ぜんぶつながるプロジェクト」を始動させている。公式サイトでは、5月31日まで、久大本線の沿線地域へのエールやメッセージを募集している。ここに集まったメッセージなどを風船にしたためて、7月14日の「ゆふいんの森」の初運転に合わせて、風船を飛ばす計画だ。