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仕事に家庭に忙しい東京都内の会社員のR男さん(30代)だが、ひそかな趣味が、深夜に一人で愛車を走らせることだ。背伸びして購入した外国車には、高級ステレオを積んでいる。「ステレオを音量をマックスにして走らせると、日頃のストレスから解消されるんです」と話す。

しかし「これって本当はマズイんでしょうか。法律的にアウトですか?」と心配になってきたそうだ。「僕もそろそろいい年で、やめた方がいいのかな、と。もし法的にアウトだとわかればやめるきっかけになりそうなんで、教えてください」と弁護士ドットコムニュース編集部に質問を寄せた。

ステレオの音量をマックスにして走らせる行為に、法的な問題はあるのだろうか。もし事故を起こした場合には過失割合に影響があるのか。西村裕一弁護士に聞いた。

●道路交通規則に違反する

「結論としては、Rさんの運転は違法となる可能性が高いです」

西村弁護士はそう指摘する。どの点がアウトなのだろうか。

「ドライバーの遵守事項を定めている道路交通法は、71条6号で公安委員会が道路の危険を防止し、交通の安全を図るために必要とする事項を決定することができることになっています。この規定を受けて、Rさんがお住まいの東京都は道路交通規則でルールを作っています。

そこには、『高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと』(8条5号)とあります。

したがって、音量をマックスにして運転をすると緊急車両のサイレン音や他の車のクラクションが聞こえなくなるため、この規定に違反すると考えられます」

●過去には過失割合が100:0となった事例も

もし事故を起こした場合には、過失割合に影響があるのか。

「仮にRさんが緊急車両のサイレン音に気づかないことが原因で交通事故が発生した場合、過去の裁判例では、Rさんの側の過失を100とし、緊急車両の過失は0とした事案があります。

他にも音楽に気を取られて幅寄せした形となり、道路左端を走行していたバイクと接触した事案でも、やはり大音量で運転していた車の過失を100とし、バイクの過失はないと判断されています。

これを機に音量を下げて運転することにしてください」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西村 裕一(にしむら・ゆういち)弁護士
福岡県内2か所(博多、小倉)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の小倉オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。
事務所名:弁護士法人デイライト法律事務所小倉オフィス
事務所URL:http://www.koutsujiko-law.com/