『マチ工場のオンナ』(c)NHK

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 父の遺した倒産寸前の町工場を、経験ゼロの専業主婦が経営再建のため奔走する。実体験を描いた原作だが、ドラマならではの撮影現場での秘話とは―。

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“実話”をドラマ化
主題歌は松田聖子

 32歳の専業主婦が、父の遺した倒産寸前の町工場の社長になって奮闘する姿を描いたサバイバルヒューマンドラマ。主人公の光役に内山理名、光の父・泰造役は舘ひろしが、それぞれ演じる。自らの体験を綴った諏訪貴子原作『町工場の娘』を映像化。松田聖子が、NHKドラマで初の主題歌『新しい明日』を歌う。

「ポジティブな主人公を感じていただきたく、タイトルは原作の“町”を“マチ”に、“娘”を“オンナ”にしました。
 光役は、内山さんの明るさ、ポジティブさ、素直さがぴったりだと思って依頼しました。泰造役は、リーダーシップ、カリスマ性のあった諏訪さんのお父さまのイメージに加え、存在感を重視して舘さんに。泰造は初回で亡くなりますが、2話目以降も毎回、登場します。強烈なインパクトを表現できる方にお願いしたかったんです」

 と、吉永証チーフ・プロデューサー。

 社長業の経験ゼロの専業主婦は、どうやって会社を立て直していくのか(?)が最大の見どころだが、光の家族関係、町工場の人々の悲喜こもごもの人間ドラマも繰り広げられていく。

「注目は、父と娘の関係です。亡くなった泰造が、回想という形に加え、どのように登場するのか? このことが、慣れない社長業に奮闘する光に大きく影響していきます」(吉永CP)

 物語は、光が泰造に語りかけるモノローグとともに進んでいく。光は、早逝した兄の身代わりのように育てる父に不満で、次第に疎遠に。反発しても、実は通い合うところがあり、似た者同士の光と泰造。

 微妙な父娘関係について、内山は、

「私も小さいころは、そんなに父親が好きではなかったです。でも、実は似ているところがたくさんあって、だからこそ好きではなかったのか、と。私も父が亡くなってから知ることが多くて、それから大好きになっていきました」

 と、共通点を明かす。

 ドラマ化では、社員たちとの絆を深めるための交換日記、サッカーなど原作エピソードに、新たな父娘関係や夫婦問題、オリジナルキャラクター(竹中直人、柳沢慎吾)を加えている。

 原作者の諏訪さんは、

「打ち合わせを繰り返すなかで感じたのが、脚本家の大島(里美)先生やスタッフのみなさまの妄想力の高さ。もう脱帽ものです!」

名古屋で撮影、出演者は
名物・ひつまぶしを堪能

 父が亡くなり“私が会社を継ぐ!”と宣言した光。第2話(12月1日放送)では、光は右も左もわからない社長業に大混乱。支えてくれるはずの夫は、アメリカへの異動が決まってしまう。会社立て直しのため、光はリストラを考えるが、職人たちは、意外な行動に出る─。

 内山は、撮影現場では、役柄の光のように“笑顔”を絶やさないことを心がけているという。

「内山さんは毎日、笑いすぎるくらい笑って、本当に楽しそうですし、本番では振り切った演技をしてくださいます。
 おしゃべり好きでサービス精神旺盛な柳沢さんは、カメラが回ってないときでも、楽しいトークで場を盛り上げてくれます(笑)。

 ちょっといたずら好きの竹中さんは、現場に入ってくるとき、スタッフや共演者の肩を逆サイドから叩くんです。振り向くと、反対側にいて。
 舘さんは、みんなのにぎやかなおしゃべりなどを、笑いながらウンウンと聞いています。とにかく共演者の方たちのチームワークがよくて、内山さんは撮影が終わるのを寂しがっていました」(吉永CP)

 出演者は、撮影が行われた名古屋の名物、ひつまぶしを堪能。名古屋出身の舘は、うまい店を知っているからと内山や永井を食事に連れて行ったという。

「楽しく撮影しておりますが、作品では、毎回、さまざまな難題が起こります。心にしみたり泣けたりする場面も、必ずあります。そして最後には次の火種を用意していますので、ハラハラしながらご覧ください。年末までの放送ですので、今作で自分も頑張ってみようと感じ、翌年の行動のヒントにつなげていただければ」(同)

まさに職人技!
細部にこだわったセット

 町工場のシーンは、実際に稼働している町工場で撮影しているという今作。

「リアリティーを追求するという点では、例えば年代ごとの家族写真や、主婦としての光の家計簿などのディテールにも、とことんこだわっています。どのシーンからも、小さな発見を楽しんでいただければ」(同)