肖像権に厳しい事務所がなぜ?「嵐年賀状」で見え隠れする政府へのアピール
「2018年(平成30年)用お年玉付年賀はがき」のコミュニケーションパートナーを務めるアイドルグループ、嵐。日本郵政は、彼らが登場するオリジナル年賀はがき「嵐年賀状」を発売することを先ごろ、発表した。
「ジャニーズ事務所の所属タレントが、年賀状になるのは初めてです。あれだけ肖像権にうるさく、一番価値のあることはファンクラブ会員に、という事務所なのに、よく踏み切ったなという感じです」とスポーツ紙芸能記者。
デザインは、メンバー5人が餅つきをしている写真と凧を持ってる写真、そして各メンバーが干支である子犬を抱えている年賀状5枚の、計7枚セット。
「それで1980円ですからね。通常の年賀はがきは、投函期限がついていますが、一番安いものは52円で出せる。『嵐年賀状』は1枚当たり約283円。ファンからどれだけ金を引っ張るんだ、という感じですよね」と前出のスポーツ紙記者も苦笑いだ。
鼻息が荒いのは日本郵政で、その背景を一般紙記者が読み解く。
「政府は来年度、1兆円分の日本郵政株を市場に売りに出します。日本郵政としてはその際、株価を少しでも高くしておきたい、という思いがある。年々枚数が減っているとはいえ、年賀状は日本郵政にとってはドル箱商品ですからね。
ほかに、そこまでまとまって売れる商品はありません。少しでも売り上げを稼ぎたいという思いが、嵐の起用につながったと思います」
嵐の起用を許したジャニーズ事務所側にも、メリットは大きい、と前出のスポーツ紙記者が見立てる。
「政府や政府に近い部分に、いかに貢献していくかが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての芸能プロダクションの大きな狙いなんです。
タレント教育に厳しくて、人気もあり、比較的スキャンダルの少ないジャニーズ事務所は、ほかの芸能プロダクションに比べて優位とみられている。年賀状という“国民的習慣”に参加できることは、政府へのアピール度も大、ということです」
嵐年賀状は、今月22日から発売がスタートする。売れ行きがまたニュースになり、さらに売り上げが伸びるという嵐効果がここでも発揮されるのか。
<取材・文/薮入うらら>