テクノプロ・キャリア 北川 太 代表取締役

 製造業においても人材の採用難が定着した今、好調な分野である自動車関連の部品、産業機械、それらを構成する電子部品業界からのエンジニアの採用意欲は引き続き旺盛です。

 当社に寄せられている求人を見てみると、自動運転の開発に伴うAIのエンジニア、走行制御・画像認識の組み込みソフトウエアエンジニア、EV(電気自動車)のモーター、インバーター、リチウムイオン電池の開発に伴う電気系エンジニアなどが依然として採用ニーズが高い職種です。

 また、開発設計のエンジニアは全般的に不足しており、これまで多かった、技術者派遣会社への依存から、直接採用への切り替えが生じており、経験者の獲得競争が一層激化しています。

 この環境下、優秀な候補者は、複数の内定・引き合いを持っています。企業はあらゆる手段を講じて優秀な候補者を探していますが、採用を成功させるためには、人材の要件をより一層明確にした上で採用活動を行うことが不可欠であり、他社との違い・自社のアピールポイントだけでなく、入社後にどのようなキャリアプランが描けるか、具体的な給与はいくらになるか、どのような環境で働けるかなど、候補者目線に立った情報を明確に候補者へ提示する必要があります。

 加えて採用手法や情報の見直し、採用体制の改善などの改革も必要になるでしょう。欧米系企業の多くに見られる「Talent Acquisition」と言われる人材の育成、採用部門の「リクルーター」の育成、登用を進めるといった手法も有用です。

 これらは採用ノウハウと経験を組織で積み上げ、能動的に人材獲得に動く使命を持ったポジションであり、人材紹介会社や派遣会社のみならず、社内や経営層にフィードバックし、採用活動を改善し、採用から経営強化に貢献していく役割を担います。

 今後は製造業においても、リクルーターが活躍する企業が採用に強い企業となるのは間違いありません。候補者目線に立った情報を明確に候補者へ提示する必要があります。