エリメントHRC 狩野 洋輔 代表取締役

 製薬業界の求人で特徴的なのは常に多くの求人があったMRのポジションに変化がみられることです。2000年代初頭に加熱し始めたメーカーによる未経験者も含めた自社でのMR採用熱も現在ではCSO(営業受託事業)への委託が増加し、メーカーMR枠は一部の専門性の高い領域のスペシャリスト以外は大きくシュリンクし、CSOの求人が増加している状況です。

 一方、常に臨床開発や薬事申請、研究開発等の専門領域の求人は候補者の絶対数も少ないため、なかなか埋まらず恒常的な人材不足状態です。

 医療機器業界は市場規模3兆円と製薬業界の10兆円超と比較して決して大きくはないものの、医療機器営業や前出の専門職などの求人は常に安定し業界の成長とともに増加しています。

 求職者側では、製薬MRや医療機器の営業職の転職動機として、「もっと専門性の高い領域や治療に携わりたい、会社の求める仕事のスタイルに違和感がある」等さまざまですが、業界にとどまり、そのような意向にあった業務内容や職場環境を求める傾向にあります。研究職や開発職なども、先進技術や高い専門性への興味、働き方やスタイルなどという点では同様です。

 そういう求職者が企業HPの募集欄や転職サイト経由で適職を見つけようとしても、単にスキルマッチだけではなく自分の意向や性質(適性)に合致しているかどうかは、なかなか判断できずにいるのが現状です。

 こうした状況の中、企業は往々にして求職者の意向や性質に拘らず書類上のスペックと型通りの面接で選考を進めてしまい、最終段階や入社後に齟齬が生じるという事態になりがちです。

 そこで紹介会社の存在が重要となるわけですが、徹底した調査研究で得た求人票の行間を求職者に正しく伝え、求職者がその求人に対して意向や性質に合致していると腹落ちした状態で選考に臨んでもらうことで、内定後の受諾と入社後の定着や活躍につながると考えます。そういうノウハウやスキルを持った紹介会社と付き合うことが採用を成功させるポイントだと思います。