東京商工リサーチの調査によると、2017年度上半期の企業倒産は低水準ながら9年ぶりに前年同期を上回ったことが分かった。

 負債額1000万円以上の今年4〜9月の企業倒産件数は4220件で、前年同期に比べ0.09%増だった。上半期としては過去20年間で2016年度(4216件)に次ぐ低水準ながら、2008年度以来9年ぶりに前年同期を上回った。

 負債総額は2兆1173億7800万円で、前年同期に比べ219.6%増で2年ぶりに前年同期を上回った。年度上半期では2010年(2兆7673億9500万円)以来の2兆円越えとなった。

 これは、製造業としては戦後最大の倒産になった、上場企業で自動車部品製造のタカタ(6月、負債1兆5,024億円)の民事再生法の適用申請が影響した。この1件だけで年度上半期負債の70.9%を占めた。

 倒産件数を産業別に見ると、サービス業他が1225件(前年同期比10.16%増)で、上半期としては2年連続で前年同期を上回った。内訳をみると、酒場、ビヤホール(43→62件)、広告業(24→36件)、持ち帰り飲食サービス業(4→11件)などで増加が目立った。

 また、ソフトウェア業を中心とした情報通信業が175件(前年同期比10.75%増)で、上半期としては2009年度上半期以来8年ぶりに増加に転じた。

 一方、建設業は795件(前年同期比1.36%減)で、上半期としては2009年度以来、9年連続で前年同期を下回った。

 製造業は541件(同7.36%減)で8年連続の減少、卸売業623件(同4.88%減)と小売業547件(同6.01%減)はともに5年連続の減少、不動産業は137件(同2.14%減)で3年連続で減少した。

 倒産件数を地域別に見ると、全国9地区のうち7地区で前年同期を下回った。増加に転じたのは関東(1669件、前年同期比3.1%増)と近畿(1124件、同7.6%増)で、上半期としては8年ぶりに増加に転じた。

 一方、北海道133件(前年同期比2.9%減)と中部563件(同0.1%減)が、ともに5年連続で前年同期より減少した。四国72件(同4.0%減)は3年連続、九州は262件(同16.8%減)で、2年連続で前年同期を下回った。

 東北164件(同4.0%減)と中国146件(同20.2%減)、北陸87件(同20.1%減)はそれぞれ2年ぶりに減少に転じた。

 上半期の負債額上位の倒産は次の通り(金額は負債額)

1.タカタ(東京、自動車部品製造)1兆5024億円
2.YOZEN(東京、通信事業ほか)143億100万円
3.ATT(東京、保護フィルム等販売)89億9800万円
4.社団誠広会(岐阜、総合病院・介護福祉施設経営ほか)87億円
5.吉年(大阪、可鍛鋳鉄製造)58億5400万円