機を見た攻め上がりで攻撃に変化をつけられる吉田だが、オーストラリア戦は「後ろに集中したほうがいい」と守備に専念するつもりだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト編集部)

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 代表合宿に合流する直前のプレミアリーグでの試合で、サウサンプトン所属の吉田麻也はアウェーでのハッダースフィールド戦にフル出場。0-0のスコアレスドローに終わったが、盤石のディフェンスで失点を許さず、チームの勝点1獲得に貢献した。
 
 敵のハッダースフィールドには、オーストラリア代表の中盤を構成するアーロン・ムーイがいた。8月31日の大一番を前に“リハーサル”をこなしたわけだが、吉田はこの冷静沈着なプレーメーカーの印象について次のように語る。
 
「チームの中心というのもあるんでしょうけど、プレーに顔を出す機会や、ゴール前で絡むシーンが多かった。それと、上手くタメを作られましたね。相手はロングボールが多いチームで、セカンドボールを彼が拾って、味方が攻め上がる時間を作る。やっかいでした」
 
 今のオーストラリアは、以前に比べると“繋ぐ”チームになった。ただ、状況によっては、フィジカルの利を生かしてロングボールを使ってくる場合もあるだろう。最終ラインで吉田が懸命に撥ね返しても、中盤のムーイにそのこぼれ球を回収され二次攻撃を受けるようなら、それこそ“やっかい”な展開だが、ハッダースフィールド戦が良いシミュレーションとなり、吉田としてもすでに対策を練っているはずだ。
 
 ちなみに、この試合で吉田は終了間際にビッグチャンスを迎えている。左サイドのクロスを丁寧に右足ボレーで合わせる――しかし、ボールは枠を捉え切れなかった。
 
「ちょっと点が遠いんですよね(笑)。FWみたいな発言だけど」
 
 この決定機の起点となったのは、吉田自身だった。センターサークル付近からするするとドリブルで攻め上がり、左サイドに展開。そのままゴール前に侵入して、シュートに至った。
 
 オーストラリア戦でも、CB吉田のゴールへの果敢なアプローチが攻撃に厚みをもたらすかもしれないが、本人はあまり乗り気ではないようだ。
 
「うーん、極力、そういうシーンは減らしたいですね。後ろに集中したほうがいい。あの時(ハッダースフィールド戦)は、攻めあぐねていて、何か違いを作らなければいけないなと思ってそうしたんです。オーストラリア戦は、前の選手が取ってくれるのが一番いい」
 
 あくまでも、守備に徹する構え。不動のディフェンスリーダーである吉田を軸に強固な壁を築き、ゴールを死守する。そしてタレント揃いのアタッカー陣が点を取る。攻守が噛み合った内容で、ロシア行きのチケットを勝ち取りたい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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