日本からも多くの観光客が訪れるパリ。

博物館や美しい建造物といった見どころが多いこの街の中で、ひときわ目を引く黄金の屋根を持つ建物があります。

それが、ナポレオンが今も眠っている場所、アンヴァリッドです。

アンヴァリッドと広く呼ばれていますが、正式名称はオテル・デ・ザンヴァリッド。戦争で傷ついた軍人を受け入れる目的で、ルイ14世によって建てられた廃兵院です。

17世紀に建設されたアンヴァリッドは病院として機能したほか、ここに住んでいた軍人たちには手工業に従事する機会が与えられていました。

現在のアンヴァリッドは一部が今でも軍事病院として使われているほか、13世紀からの武器などを展示する軍事博物館、フランス軍の教会として使われているサンルイ教会、そしてナポレオンが眠るドーム教会といった複数の施設から成り立っています。

さっそく中へ入ってみましょう。入り口にはナポレオン像が立ち、厳しい顔で訪れる者たちを見守っています。

「兵士の教会」であるサンルイ教会は、美しい白い両壁に軍機が掲げられています。これらの軍機は破った敵のものであり、いわばフランス軍の勝利を象徴しているのです。教会内に流れる整然とした空気に、背筋がピシッとなるような思いです。

そしてナポレオンが眠っているのが、「王家の教会」であるドーム教会です。1706年に建設された教会は、その豪華な装飾からもルイ14世の権力の大きさが伺えます。

ドームの真下にあるナポレオンの墓は、その大きさと重厚さで見る者を圧倒しています。1821年に幽閉されていたセントヘレナ島で死を迎えたナポレオンは、国王ルイ・フィリップの意向によって1840年パリへ送られます。ナポレオンの体をここへ納めるために教会では大規模な改修が行われ、1861になって彼の遺体がここへ安置されました。

それにしても大きな棺だと思いませんか?実はこの棺、5層構造になっていると言われています。この中に歴史の授業でも勉強したあのナポレオンが眠っているなんて、筆者は棺を眺めながら何とも言えない不思議な気持ちになりました。

大理石の床に描かれているモザイク装飾は、ナポレオンが勝利を勝ち取った数々の戦いの名が刻まれています。また墓を囲む回廊の壁には、彼が残した偉業が彫刻で示され、称えられています。

数々の功績を残し、大きな影響を与えたナポレオン。彼の眠る地を訪れてその生涯に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

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