最近は残業を減らすために、業務の効率化に励む企業も出てきているが、それを快く思わない人もいるようだ。2月17日、はてな匿名ダイアリーに「元コンサルが入って残業のないクソ会社になった」というタイトルの投稿があった。

投稿者が勤務する会社では残業率が高く、夜9時になっても約半数の社員が残業しているような環境だが、「毎日が文化祭の前夜みたいな感じだった」と楽しんでいる。社内の雰囲気は相当緩いようだ。

「休憩は1時間以上取っても何も言われないし、途中で抜けて銀行や役所に行ってもOK。業務中にツイッターやフェイスブックに投稿しても問題なし」

しかし昨年4月に「事件」が起こる。社長が元戦略コンサルを引き抜き、「労働時間短縮」に乗り出したのだ。

メール一本でできた遅刻の申請は、証明書が必要になった

まるで遊びに来ているのか?と思えるくらい緩い職場環境のため、それまで投稿者は「仕事に行く」という感じは全くなかった。同僚と夜ごはんを食べた後に1時間ほどダラダラと喋ることが常態化していたようだが、これでは労働時間が長くなるのは当然だ。

働いている本人たちは気楽なのかもしれないが、会社としては、仕事をしていないのに残業代が発生することになる。元コンサルの力を借りて、業務改善に取り組むのは当然の措置だろう。

改善の結果、「タスクごとに明確な締め切りを作って、それを守ることを最優先する」など、緩い社風がどんどんと改められていき、以下のような点が改善された。

・各々が自由に取っていた休憩時間も、時間がきっちりと決まって、時間内に昼食を取る。
・メール一本で許されていた遅刻が、申請が必要になって証明書の提出が絶対になった。
・離席して社内ネットワークに30分以上接続していないと、理由を提出しなければなくなった。

効率化されてよかったように思えるが、投稿者は不満だという。文化祭的な楽しさはなくなり、「何の面白みもないクソ会社に成り下がった」というのだ。定時退社する人が多くを占めるようになり、夜9時に残る人は1人か2人。最近では離職者が相次いでいるため、こう嘆いている。

「世の中の会社員のほとんどが死んだ目をしているのが不思議だったけど、今はわかったよ。健全な会社はストレスを生むんだ」

「文化祭の続きがしたいなら従業員有志で独立しろ」

コメントには、「残業率が高いっていうけど、ほとんど遊んでるようなものじゃん。それでお金発生してたら経営者からしたらたまったもんじゃないわ」など、社長に同情するコメントは多い。

同時に、「今迄がヌルすぎただけだろ、仕事舐めんな」「会社は学校じゃねぇんだよ」など、投稿者に批判的な意見も相次いでいる。

「それ、たまたまお前は居心地よかっただけで、つきあいで残業してた奴もいたんじゃねえの?」
「それ増田(編注:投稿者)がクソだから健全な会社に合わないだけじゃね?」
「会社の金で遊んでたのが禁止になっただけのような」

投稿者は、元コンサルが入ることによって会社の雰囲気がつまらなくなったことを主張しており、効率化や定時退社によるメリットに目が向いていない。これについても、

「社長や会社の持ち主はお前らに文化祭気分を与える為にやってんじゃなくて、利益が欲しいのだもの。文化祭の続きがしたいなら従業員有志で独立してそういう会社を興せばいい」

という指摘があったが、もっともだろう。

だが一方で、「効率化がすべてではないし、元コンサルやりすぎな感がある」など、元コンサルのやり方に疑問を呈する声もあった。また、社長に対してもそれまで「文化祭前夜」のような雰囲気を許していたのに、急に変えようとするのはいかがなものか、という声も挙がる。「極端に逆側にふれてしまった」というのだ。

たるんだ職場を放置しておくのは問題だが、性急な対策を講じるあまり、全体のバランスを崩してはいないか? と考えさせられる事例ではある。

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