そのためには選考結果などを詳細にフィードバックして、コンサルタントが推薦してくる候補者の面接通過率を上げていかなければならない。 さらに人材確保の課題に対して、マンパワーグループの池田匡弥社長は、「ポテンシャル採用の導入や、人材を育成する環境の整備・能力開発のためのプログラムを検討することが必要」と、採用条件の見直しや社員の定着・育成施策の充実が欠かせない点を指摘する。

 外部労働市場を意識してキャリアアップの機会、賃金・処遇の見直し、働きやすい環境づくりなどの対策を講じ、求める人材に応じた特徴的な人材紹介会社や転職求人サイトの利用、SNSを活用したダイレクト・リクルーティング、社員紹介など様々な採用手法を活用する。

 そして他社より早く内定を出すための採用プロセスも見直してスピードアップを図らなければならない。採用後に人材育成という観点からより早いキャリアアップの機会を与えることも候補者には魅力的な条件となるだろう。

 採用力の強化には、採用担当者だけが頑張るのではなく、全社で人材採用に取り組むような社内の協力関係を作り上げていかなければ成功することはできない環境になっている。(1)企業の人材需要
(2)企業の人材採用の課題
(3)2017年の人材業界の展望、自社の事業・サービス展開(1)17年は米国の大統領就任を筆頭に、主要国の政治局面で想定外な事象もあり景気動向が読みづらい状況。景気をけん引した中国や東南アジアも同様にそれぞれ懸念材料があるものの、求人環境は回復する見込み。特にベトナムやインドなどは日系企業の製造業に加え、サービス・小売業などの積極的な進出により需要は高い状態が続くことが考えられる。国内においては昨年外国人観光客の人数が過去最高を記録するなど、20年までは語学力を有する人材ニーズの高まりは継続する。さらに、フィンテックやIoT関連、ロボット、自動車業界の自動運転関連の需要、各業界で注力しているAI関連の需要も引き続き高い需要が続くだろう。

(2)引き続きグローバル化とイノベーションにかかわる人材が不足していることから、この二つに関連する人材の採用と育成が重要になっていく。特に製造業を中心にIoTの事業化が成長のカギとなっていることから、事業企画の要員からSEに至るまで採用ニーズが高まる一方、金融機関のフィンテックに関しては事業化する段階までにはもうしばらく時間がかかる見込み。いずれにしても、既存事業からの人材獲得においては現在籍企業からの引き留め対策が強化され、また新分野に関しては採用条件の明確化が不可欠となり採用企業の採用戦略もより高度化するため、ち密に取り組む必要がある。

(3)企業の求人ニーズは、ここ数年来のグローバル展開のための人材から、企業の収益化又は立て直しに力のある事業マネジメント層、あるいは先進技術の事業化のための専門性の高い人材にシフトしている。当社ではそうした人材ニーズに対応できる質の高いコンサルタントの確保・育成など、人材紹介業として規模拡大を図るための人材への投資を最大化させていく。(1)圧倒的な人材の枯渇から様々な雇用が試される(高齢者、女性、若手、外人)年となるか。

(2)特に次代を創る“人財”が圧倒的に不足している。こうした人財をいかにして見出し、採用し、とどめることができるのか。採用に対する取り組みそのものが変わっていく。

(3)いかに有効な人財を獲得できるのかあらゆる可能性を試す。(1)当社が提供する人材紹介サービス「リクルートエージェント」において、16年の求人数は過去最高を更新し、人材不足が顕著であった。幅広い業界から経営幹部、次世代リーダー、スペシャリスト、メンバークラスの人材など、全てのクラスに対する採用意欲が高かった。17年もこの状況に大きな変化はないと見ている。