博多大吉が守った芸人のプライド、ピース綾部NY行きは阻止「ダイナマイト関西2016」決勝戦徹底レポ

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12月25日、東京・よみうりホールで『ダイナマイト関西2016 オープントーナメント』決勝大会が開催された。総エントリー数1729人を勝ち抜いた8名による最終決戦。クリスマスの夜に、ガチ大喜利で「一番おもろいやつ」が決まる。


安倍・ヒラリー・トランプによる日米合同始答式


決勝大会は始球式ならぬ「始答式」からスタート。進行はMCの浅越ゴエと、バッファロー吾郎Aによく似た謎の天狗「戦いを司る者」。今大会ですっかりお馴染みになった天狗であるが、赤いお面に白い服、手には緑のヤツデの葉と、色使いは偶然にもクリスマスカラーである。

始答式のゲストは安倍首相(ビスケッティ佐竹)、ヒラリー・クリントン(石井てる美)、ドナルド・トランプ(レイザーラモンRG)の3名。トランプ氏が中森明菜「DESIRE」に乗せて「ダイナマイト関西あるある」(決勝に残る人 物静か)を披露したのち、3名による日米合同始答式が賑々しく行われた。


続いて行われたエキシビションは、インパルス板倉&フットボールアワー岩尾 vs マッスル坂井&トリプルファイヤー吉田によるスペシャルタッグマッチ。このコーナーはDVDに入るのか入らないかと揉めつつも、準決勝で活躍した猛者たちがせめぎ合う。序盤は坂井&吉田がリードするも、終盤に板倉&岩尾が盛り返し、結果は2対2の引き分けに。ブロレスラー&ミュージシャンのコンビに対し、芸人の意地をみせた展開となった。


一回戦第一試合:和田ラヂヲ vs 笑い飯 西田



「和田先生の弱点はストーリー漫画が描けないところ」と西田が煽れば、「大喜利にはストーリー漫画関係ないですよね」とふらりとかわす和田。『連載12年 まったく人気が出ないジャンプ漫画主人公の決め台詞とは』というお題には、和田が「こんにゃく」とこんにゃくを片手でつまむシュールな絵で回答。以後、和田は「こんにゃくが頭から離れなくて」と自ら生み出した亡霊に悩まされるも、4-3で西田に勝利した。

一回戦第二試合:ケンドーコバヤシ vs 次長課長 井上



試合前、MCの浅越ゴエがケンコバを呼び込むも、登場したのはなんとマネージャー。事前に行われた決勝トーナメントの組み合わせ抽選会でケンコバの代わりに抽選をし、「小林さんが出るまでもない」「俺が出てやる」と豪語していたマネージャーである。本当に解答席に座ったことに恐れおののく井上。

しばらくマネージャーをいじった後、ようやくケンコバ本人が登場して試合開始。『アンパンマンショーで母親たちが思わず子どもの目を手で覆い隠してしまった光景とは』に「ジャムおじさん、残尿のあらし(ケンコバ)」「アンパンマンが薄皮の4つ入りタイプ(井上)」と絵回答で競り合う。両者激しく打ち合い、ラスト1分で2-1で井上リード。ケンコバがラッシュをかけるが追いつかず、井上の勝利に。

その後、ケンコバは解説席で戦いを振り返り「弟子に越えられるのは気持ちのいいものですよ」「僕なんか木村さん(バッファロー吾郎A)の背中を蹴飛ばして上がってきましたからね」と語っていた。


一回戦第三試合:R藤本 vs バッファロー吾郎 竹若



8月に行われた予選トーナメント4で一度対戦している両者。その時に勝っているR藤本は「世代交代が必要」と叫び、竹若は「さっきまでエキシビションを横で並んで見て笑ってました」と優しい先輩オーラを全開にする。

『サッカーの試合中 本当に“勝利の女神”が現れて選手たちに言い放った言葉とは』ではR藤本が「美しい芝ですこと!」「まぁ!こんな治安の悪い国で」と多彩な手数で攻める。竹若も「ボールの黒と白を均等に蹴るのです」などと返すも、4-2で藤本の勝利に。

一回戦第四試合:博多大吉 vs ピース又吉



試合前に流れた煽りVTRでは、又吉が「大吉さんは博多の守護神だから、博多を中心とした地名を出して魔法陣を作る」「大吉さんは雨に弱い気がする。雨なら降らせられる」「負けたら綾部のニューヨーク行きを止める」とコメントがキレキレ。大吉先生も「IPPONグランプリとダイナマイト関西で優勝している」と経歴を誇る。

『いろんなオニギリに勇ましい異名をつけて登場させてください』では、大吉が「伝説が再び幕を上げる!塩むすび feat. 山下清」とコンビニおにぎりをグレードアップさせるも、又吉は「自主性が怖い!AIおにぎり」「消化できる?プラスチックおにぎり」と謎のオニギリを創作。2人のアプローチがぶつかり合い、結果は2-1で博多大吉の勝利。綾部のニューヨーク行きは阻止されてしまうのか。


エキシビション:ベストカップル大喜利



休憩を挟んで行われた本日二度目のエキシビションは、クリスマスらしくカップルによるタッグマッチ。ずん飯尾&阿佐ヶ谷姉妹渡辺、高野祐衣&ザ・ギース高佐、ずんやす&オアシズ大久保の3組が大喜利で戦う。

……のだが、解説席からの「両脇の2組が高野&高佐のご両親みたい」というコメントがハマり、その後ちょくちょく両家顔合わせとして振る舞うことに。結果、戦いを制したのはずん飯尾&阿佐ヶ谷姉妹渡辺カップル。ポイントを取るたびに両手でハイタッチする姿が仲睦まじい。2人には「YES-NOフリップ」が贈られた。

準決勝第一試合:和田ラヂヲ vs 次長課長 井上



時刻は19時。「チョコレートを食べてきました」という和田と、「お弁当が野菜ばかりだったので逆に何も食べていない」という井上。『NHK紅白歌合戦の真っ最中 解散決定のアイドル5人組はどこで何をしている?』というお題には、解説席から「あの5人というわけではありません」というフォローが入るも、和田の答えは「4人で麻雀をしている」「あとの1人は寝ている」と4対1のフォーメーション。どうしてもあの5人を連想させてしまう。


お互いじっくり考えて答えを出す姿を、よみうりホールの客席1000人が固唾を呑んで見守る展開。静かな戦いは3-1で和田の勝利。漫画家・和田ラヂヲがダイナマイト関西の決勝に駒を進めた。

準決勝第二試合:R藤本 vs 博多大吉



『サンタクロースからのプレゼントのメッセージカードに余計な一言が「メリークリスマス ○○○○」』では「メリークリスマス → スイカ → カラス → スルメ → メリークリスマス」とテクニカルな回答で会場を湧かせる大吉先生。R藤本も「英語で書こうとして何度も失敗している」など手数多く迎え撃つ。

続く『ファン騒然!引退するアイドルがラストコンサートで放った驚愕のコメントとは』では、大吉が突然「ああーっ!!」という回答を出し、解説席を無駄に驚かせる一幕も。対するR藤本は「あれ48人もいらねーんだよ」「思い出した!ツインビーだ!」と回答を繰り出すが、なかなか差が縮まらない。

良回答が何度も飛び交った今大会屈指の好勝負、リードする大吉にR藤本が並ぶ場面もあれどあと一歩届かず、博多大吉が2-1で勝利。決勝進出を決めた。

決勝戦:和田ラヂヲ vs 博多大吉



漫画家 vs 芸人と、オープントーナメントを象徴するマッチメイクとなった決勝戦。最初のお題は『ここ網走刑務所にもクリスマスがやってきました 心優しい所長が施した気の利いた変化とは?』。2人が一発目に出した答えは「鉄格子が赤と白になっている(和田)」「鉄格子のどこか1本が千歳飴になっている(大吉)」と、まさかの鉄格子かぶり。

4-3の大吉リードで折り返し、続くお題は『チャンネルを変えたらやっていた「情熱大陸」で矢沢永吉が言っていた言葉とは」。解説席から「矢沢永吉のお題、どこかでやりましたよね」の声。そうなのだ。実は11月に行われた準決勝で『「矢沢永吉です」から始まった留守電メッセージ 何が録音されていた?』というお題があった。そしてその時「華丸病」にかかり苦戦したのが他ならぬ博多大吉だったのだ(深夜の博多大吉、華丸病にかかって迷走「ダイナマイト関西2016」オールナイト準決勝レポ

しかし、この日は違った。「これなんて言う番組?」「年金?もらいたいね(笑)」と矢沢らしい回答でポイントを奪う大吉。最後は「2016年って足したら9年じゃん。OK?」で和田ラヂヲの持ち点をゼロにし、完全勝利! 優勝の瞬間、大吉はスケッチブックを持つ手を高く突き上げた。


勝者コメントを求められた博多大吉は、決勝戦のプレッシャーについて語った。

「ちょっと(最初に)言えなかったんですけど、和田さんは漫画家の方なので。やっぱりね、芸人が負けるのもどうかと思ったので……だいぶプレッシャーを一人で勝手に背負ってたんですけど、本当に勝ててよかったです」

今回のダイナマイト関西はオープントーナメントであり、芸人のみならずプロレスラー、漫画家、ミュージシャン、劇作家、一般参加者など様々な職業の人物が参戦していた。本職の芸人にとっては勝って当たり前、素人に負けるのはリスクでしかない。そのリスクを背負ってまでエントリーした芸人たちのプライドが、博多大吉の優勝によって昇華したように見えた。

参加総数1729人、半年以上に渡った戦いもこれにて決着。最後は戦いを司る者さんのこの言葉でお別れです。


「ごちゃごちゃ言わんと、誰が一番おもろいんか、決めたらええんや!」

(井上マサキ)