「ぷう、お前何やってんだ!」 キラキラさん増加に職場煩悶
これまでの常識にとらわれない独創的な名前が「キラキラネーム」と呼び習わされるようになって久しい。今日では、「光宙」(ぴかちゅう)、「黄熊」(ぷう)、「泡姫」(ありえる)、「飛哉亜李」(ひゃあい)などと名乗る人に出会っても眉ひとつ動かさずに応対しなければならないのだから骨が折れる(噴き出すなどもってのほか)。
読めますか、こんな名前
赤ちゃんの命名サイト「赤ちゃん名づけ」や名字検索サイト「名字由来net」を運営する「リクルーティングスタジオ」が発表した「2016年上半期キラキラネームランキング(30位まで発表)」によると、1位は「碧空」(みらん、あとむ)。2位「星凜」(きらり、あかり)、3位「奏夢」(りずむ)、4位「輝星」(べが、だいや)、5位「妃」(ひな、きらり)など、いかにも目にも眩しい名前がずらり。さらに、適当に見つくろって紹介すると14位「七音」(どれみ、おんぷ)、19位「苺愛」(いちあ、べりーあ)、23位「愛羅」(てぃあら、あいら)......。ほとんどが「難読」といったレベルを超越して輝いている。
命名は、親の願いのこもった、自由な発想によるものだとしても、キラキラネーム世代が社会人になり、職場に増えてくると、事が微妙になる。
つい「戒名みたいですね」と
ツイッターを見てみると職場でも話題になったり、対応に窮したりすることもあるようで、
「採用担当者のホンネ。キラキラネームは絶対に採らないという会社があります」「上場企業で人事してるんだがキラキラネームは採用しないことになった。そりゃそうだ。変な名前の部下なんて取引先に連れて行けないもの」「電話相手がキラキラネームだと聞き取れない」「会社にイケメンの営業マンきたらしい。わたしみてない。ずるい。名刺みせてもらったらがっつりキラキラネーム(笑)」「キラキラネームの部下を怒っても、なんか締まりがない」「新入社員の名前が全員キラキラネームで全然読めない」「部下が、子どもにキラキラネームをつけた上司にたいして『なんか戒名みたいですね』といってしまった」
など、一つ間違えば大問題になりかねない措置を含め、今風の個性的な名前をめぐる泣き笑いが多数見受けられる。
実名を明かす人は少ないものの、自身がキラキラネームだという人からの書き込みもあった。
「自分もややキラキラネーム寄りだけど、自分と同じ名前の人ってあった事ないし、漢字の意味とか調べるとちゃんと意味があったりするしなぁ。名前負けしてるのは確かだけど、親を恨む程じゃないなぁ」「栞奈(かんな)ってキラキラネームだね。って言われたの初めて。建設会社の次女として生まれて木材を削る鉋(かんな)が由来ですが。むしろ木材をキラキラさせる側ですが」
思えばリオオリンピックの競泳男子800メートルリレーで銅メダルを獲得した江原騎士(ないと)選手、競泳女子の今井月(るな)選手の名もかなり個性的。明治の文豪・森鴎外は自分の子どもらに「於菟」(おと)、「真章」(まくす)、「杏奴」(あんぬ)、「不律」(ふりつ)と名づけている。
キラキラネームであろうとなかろうと、活躍する可能性は本人しだいといえようか。(KM)