武田 真優子 / つむぎペットケア

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■ある日、あるウサギカフェでの話


ボク 「うさぎって、なにをたべるんですか?ニンジンですか?」

武田さん 「うーん。ニンジンを食べる子もいるけれど、うちの子は食べないわよ。ピーターラビットも、食べてるのはニンジンではないのよ。」

ボク 「…え?」


■ピーターラビットが、ニンジンを食べていない!?


世界中で有名なピーターラビット。公式ウェブサイトには、はっきりと記載があるのだけど、彼はニンジンを食べていないのよ。

じゃあ、アレはなんなのかって?わたしたちが「ニンジン」と思いこんでいたものは、「ロング・スカーレット」というカブ(ラディッシュ)。そもそも、野生のウサギは、ニンジンを好んで食べないの。


■ニンジンは双子葉植物だから…


ウサギは植物食。野生では、草・木の葉・樹皮・種子・根を食べている。また、たくさんの食物の中から限られたものを食べ、柔らかく水分の多い植物を好むの。かなりの粗食。ここからが、大事よ。ウサギはイネ科の青草を特に好んで食べる。イネ科は単子葉植物。理科の時間に習った記憶を思い出してね。これらが十分に食べられないときのみ、双子葉植物を食べる。


実は、ニンジンは双子葉植物。つまりね、ウサギは自ら好きこのんでニンジンは食べない。野生では、ノラニンジン(食用にんじんの原種)をあまり好まないということが調べられているわ。もちろん、小さいときからニンジンを食べさせたら、美味しそうに食べるウサギになるわよ。


■ウサギはかなりの粗食だから、ウンチを食べる!?


なにかを考えるときは、歴史を見ることが大事。ウサギも、野生のころを考えることも大事なのよ。

ウサギが野生では、草・木の葉・樹皮・種子・根を食べていることはさっきも伝えたけれど、これだけの粗食から栄養を取るのは、十分ではないということで、彼らは2種類のウンチをするようになった。ひとつは、荒い繊維のウンチ。もうひとつは、細かい繊維と栄養が入った食べるウンチ。この食べるウンチのことを「盲腸便」といって、食べないと逆に病気になっちゃう。


■粗食で生きられるように進化したから


世界が寝静まった時間、夜中から朝方に草・木の葉・樹皮・種子・根を食べる。だから、ペットのウサギも、1日の中でこの時間にいちばんよく食べる。粗食で体をつくるように進化したウサギは、カロリーが高いものが大好き。さすがにお肉は食べないけれど、甘いものや炭水化物は大好き。飛びついてやってくる。ただし、粗食を消化する高性能な消化器をもつウサギには、かなり負担になるし太る。


人間とは体つくりが違うということを理解して、心を鬼にして、粗食に努めるのが、長生きのコツよ。ウサギの病気のだいたいの部分は、食事で予防できるからね。



■ある日、あるウサギカフェでの続きの話


武田さん 「でも、たまには、おやつとしてフルーツや野菜をあげるのはいいわよ。仲良くなれるから」

ボク 「ニンジンでもいいですか?」

武田さん 「もちろん(笑) フルーツや野菜に慣れておくと、病気になったときに薬をあげやすいから、その意味でもいいわね」