日本の医療制度や病院設備の充実について賞賛する中国メディアは多い。ただ、日本の病院に対する賞賛や羨望の対象はそれだけに限らないのだ。中国メディア・今日頭条は12日、ハード面のみならず、サービスや制度のデザイン上でも日本の病院が優れているとし、中国のように長い列に並んで診察を待つような状況がない点を賞賛する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本の医療制度や病院設備の充実について賞賛する中国メディアは多い。ただ、日本の病院に対する賞賛や羨望の対象はそれだけに限らないのだ。中国メディア・今日頭条は12日、ハード面のみならず、サービスや制度のデザイン上でも日本の病院が優れているとし、中国のように長い列に並んで診察を待つような状況がない点を賞賛する記事を掲載した。

 記事は、中国国内では大きな病院で診察を受ける際の一番の悩みは「行列に並ぶ」という問題であると説明。行列に並びきれないために「黄牛党」と呼ばれる「並び屋」が存在しさえすることを紹介した。そのうえで、日本では受診の申し込み、会計、薬の受け取りのいずれにおいても行列に並ぶ必要がないと伝え、その仕組みについて解説した。

 まず受診の申し込みについては、日本では大きな総合病院の下に地域の小さな診療所や個人開業のクリニックが存在することを紹介。ちょっとした頭痛や発熱であれば大病院に駆け込むことなく近所のクリニックで診察を受け、そこで対処しきれない症状であればクリニックの医師が大病院に紹介状を書いてくれるとした。また、基本的に予約制である病院でも多少待つことはあるものの、その間に看護師が採血や血圧測定など必要な事をしてくれるため、ようやく医師と顔を合わせたのに「まず血を取って来て」などと言われるケースを回避することができると説明した。

 記事はまた、会計については自動精算機を導入している病院が少なからず存在し、スムーズな支払いができることで行列ができるのを防いでいること、薬の受け取りでは「列に並ぶ必要がない、と言うよりも、日本では治療と薬品の分業体制ができており、患者が医師から処方箋を受け取って自分で任意の薬局に行くことになっている」ことを併せて紹介した。

 小さな診療所は当てにならないから、大病院の名医に診察してもらうために早朝から並ぶ。待ちに待ってようやく自分の順番が来たと思ったら、採血や採尿をして来いと言われ、そのためにまた並ぶ。再び医師にたどり着いて診察を受けて終わればいいが、レントゲンなどの検査が必要となればまた並ばなければならない。そして、薬を受け取るのにまた並ぶ。こんな状態では、よほど重い症状にならない限り病院には行きたくないと思うのが普通だろう。

 解決すべき問題はたくさんある。まず「当てになる」小さな診療所・クリニックを各地に配置し、これらと総合病院との完全分業を実現させること。そして、病院の予約システムを充実させること、受診や検査の流れを見直してよりスムーズな診療が受けられるようにすることなども必要だ。レストランに行列ができるのは構わないが、市民の衛生や健康に大きくかかわる病院に行列ばかりできていては、困るのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)