たくさん勉強したのに、いざ外国の人と話したら……英語が通じない! そんな経験、ありませんか? 日本人がぶつかる「英語の発音」の壁。難しいですよね。ということで今回の主役は、あのジョン万次郎。なかなか勇気を持って英語を話せないみなさんに、ヒントとなるお話です。

水はワラ、猫はキャア、夕方はイブネン!



英語の発音を、江戸時代に習得した人がいます。
そう、日米和親条約の締結に尽力した幕末の偉人、ジョン万次郎こと中浜万次郎(なかはま・まんじろう)です。
漂流や無人島生活を経験し、アメリカの捕鯨船に助けられた万次郎。
最終的には通訳や教育者として活躍しますが、もちろん英語はペラペラ。
とくにその発音が優れていたといいます。

万次郎は、英語をすべて耳で覚えました。
先入観なく覚えた彼の発音の表記は、今でも実際の英語の発音に近いと言われています。
たとえば、こんな感じです。

「水」は、「ワラ」。現代はカタカナでウォーターと書かれますが、万次郎流は「ワラ」です。
「日曜日」は「サンレィ」
「夕方」は「イヴネン」
「夏」は「シャマ」
「猫」は「キャア」

基本的に、語尾のingやtは発音していません。
きっと、聞こえなかったのでしょう。
ですが、聞いたまま発音したほうが、より流暢に話すことができたようです。

一説には、あの有名な「堀ったイモいじるな」も、ジョン万次郎の教えである、という説もあります。
「What time is it now?」は「掘ったイモいじるな」。
それから、「揚げ豆腐!」は「I'll get off!」。
ちょっとやりすぎかもしれませんが、当時の日本人にとっては、わかりやすかったかもしれませんね。

英語を話すのがちょっと苦手な方。
先入観を一度はずして、万次郎流の発音を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「ワラにサンレィ。万次郎流英会話!」として、2015年10月21日に放送しました。

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<番組概要>
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