いま大人気の街、東京杉並区・西荻窪。都心からのアクセスも良く、昔から古書店やアンティークショップの多さでも有名。人気のグルメスポットはもちろん、アットホームでのんびりとした街の雰囲気にも、ますます注目が高まっています。今回は、そんな西荻窪の散歩コースの名所「善福寺川」にまつわる話をご紹介します。


東京杉並区・善福寺池の「遅の井の滝」



東京・杉並区内を流れる川、善福寺川。
全長11.3kmの小さな川ですが、途中途中の自然あふれる緑の風景が、人々にとても愛されています。

善福寺川は、神田川の支流。途中で合流地点があります。
この川の源流は「善福寺池」。
青梅街道の井草八幡神社のある交差点を吉祥寺方面へしばらく進むと出てくる、とても大きな池です。

善福寺池の湧水のひとつに「遅の井(おそのい)」と呼ばれる滝があります。
この湧水の歴史はとても古く、およそ800年前。
源頼朝が奥州征伐に向かう途中、この地で飲料水を手に入れるため、土を掘りました。
ですが、なかなか水が出ず、頼朝が自ら弓の両端にある「はず」で土を7ヵ所掘ると、しばらくしてその7ヵ所から水が湧き出たと言われています。

頼朝が、なかなか出ない水を「今や遅し、今や遅し」と待ったことから、「遅の井」と名付けられたとの伝説がある「遅の井の滝」。
現在あるのは当時のままではなく復元されたものになりますが、それでもその場所で頼朝が水を出そうと必死になったかと思うと、深い歴史を感じます。

かつては、江戸の暮らしを支えた日本初の上水道である神田上水の補助水源として利用されたほど澄んでいたという、善福寺池。
湧水量も多く、武蔵野三大湧水池のひとつとして知られていました。

今でも季節に合わせてさまざまな植物や生き物が楽しめ、ボートに乗りながらのんびりできる地元の人々の憩いの場。
これからの季節、杉並区を散歩する機会があれば、ぜひ訪れてみてくださいね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「頼朝が掘った、杉並の湧水」として、3月17日に放送しました。

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<番組概要>
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