現役AV女優・紗倉まなが『最低。』で書いた「なんとかしてあげたい」

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そこに落ちたら、もう戻れない。
現役AV女優による初の小説


2月12日に発売された紗倉まなの小説『最低。』。発売日から3日で増刷が決定。3月4日から増刷分が店頭に並び始めている。

紗倉まなは2012年に工場萌え美少女としてデビューしたショートカットの22歳。
マジックミラー号では素人男性の目を見つめてしっかりと最後まで導き、特殊浴場では先生の説明を姿勢正しく聴いていた。
(モテるタイプの学級委員って感じだな……。すごく、いい……)
みたいに思いながら見ていた。

ビデオ以外でも活躍の場が多い。テレビ東京ゴッドタンのキス我慢選手権では砂漠の死神の妹役として出演し、川島省吾の唇を狙った。龍が如く0・水商売アイランド(ゲーム内のキャバクラ経営モード)ではラスボスのキャバ嬢として登場し、勝利した後には強い味方になってくれた。現在ではとにかく明るい安村と紗倉まなのとにかく丸裸!(文化放送)に毎週金曜26時半から出演中。

『最低。』は4人の主人公が登場する。


で、一回どれくらいなの?
スカウトと肉体関係を持ったのをきっかけにAVの世界に興味を持った彩乃。高校卒業後、上京した彩乃はもうすぐ20歳になる。成人してAVに出るのなら、親に許可を取る必要はない。
ある日の撮影現場。シャワーを浴びてメイク室に戻ってくると、彩乃の携帯に母親から電話がかかってくる。

おしっこすると、ちょっと痛いの
撮影当日に雲隠れしてしまった女優の代役もこなす桃子。リスのような乱れた歯並び。柴犬のようにふさふさの太い眉毛の持ち主。それでも「この子と一緒にいたらさぞかし幸せなんだろうな」と思わせてくれる。上京、AVデビューと同時に始まるプロダクションの社長・石村との共同生活。桃子はなぜAV女優を続けるのか。石村の目線から物語が展開されていく。

さぁて、今日の収穫は、と。
夫が寝ている間にこっそり寝室に忍び込んでいる34歳の美穂。夫婦では5年ほど体を重ねていない。
ある日、自分とよく似た女性のAVを発見してしまう。スレンダーな女優が好みの夫なのに、肉付きのいい女性が写っていた。
女としての欲望が渦巻いて、毎晩身を切るほどたまらない想いをしていた美穂は、女優の所属先のプロダクションを調べて電話をかけ始める。

元AV女優の母と金沢で暮らすあやこ。学校では影の薄い存在だった。中学2年生の夏休み明けに、国内でも比較的大きい絵のコンクールに入賞する。
しかも父親っていうのも男優らしいよ。撮影中にできちゃった子なんじゃないかってお母さんが言ってた
注目されるようになったのをきっかけに、母親のうわさが学校中に広がっていく。

彩乃の章は70ページ。桃子の章、美穂の章は50ページ。あやこの章は69ページ。4章の短編で構成されている。

『中退アフロ田中』の大沢


この本を読み終わったあと、AV女優と付き合って苦しむ男の姿が少しだけ描かれているマンガを思い出した。
なぜあのさっちゃんが…AVなんだ…
必要とされてるんじゃない!! それは利用されてるんだよ、さっちゃーん!!
のりつけ雅春の『中退アフロ田中』。登場人物の一人・大沢は再びAVの世界に身を投じることを決意したさっちゃんを止めることが出来ず、涙で破局を迎えてしまった。


親、恋人、夫、子ども。『最低。』では、AV女優それぞれにとって親しい人物が各章で登場する。AVに出ることが必要なことだと考える人がいて、AVに出てほしくない人がいる。アダルトビデオに出ることで、どのような別れをたどったのか、あるいはたどるのか。
なんとかしてあげたいという思いを言葉にするにしろ、行動に移すにしろ、自分の思いを100%伝えて相手に納得してもらうのは難しい。離れる方にとっては重苦しいし、離れられる方は無力感に打ちひしがれる。紗倉もAVの世界に入って、そんな別れを経験したんだと思う。
(山川悠)