侍ジャパン・中田翔【写真:編集部】

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1次Rは打率5割2分6厘、2本塁打、13打点の大暴れも「今までのことはすべて忘れて」決戦へ

 世界野球「プレミア12」に出場している侍ジャパン日本代表は、16日に台湾・桃園でプエルトリコとの準々決勝(日本時間19時30分開始)に挑む。1次ラウンドは接戦もありながら、5戦全勝で突破。その原動力となったのは、台湾に入ってからの4戦で13打点と驚異的な活躍を見せている中田翔内野手だ。

 札幌での開幕戦・韓国戦を含めた1次ラウンド5試合で見ても、打率5割2分6厘、2本塁打、13打点の大暴れ。“恐怖の6番”として絶好調を維持している。26歳の主砲からは、チームリーダーとしての自覚も漂う。

 プエルトリコ戦でも、日本(東京ドーム)で行われる準決勝へとチームを導く活躍が期待されるが、その前に、台湾ラウンドでの活躍と、試合後のコメントをあらためて振り返ってみよう。

▽11日・メキシコ戦(◯6−5)3打数3安打5打点
「筒香が敬遠されて一気に気合が入った」

 1点を追う2回に筒香を一塁に置いて逆転2ラン。3回には、筒香のタイムリーに続いて犠飛を打ち、リードを3点に広げた。さらに、5回にもタイムリー。土壇場で同点に追いつかれた直後の9回には、1死二塁で筒香が敬遠されると、ライト前へ劇的なサヨナラヒット。3安打5打点の大暴れで日本を勝利に導いた。

「目の前で筒香が敬遠されて一気に気合が入った。1打席目を大事にするのはシーズン中にやっていること。今日も集中してできた。(5打点は)周りの先輩方、バッターがチャンスで回してくれたので、何とかしないといけないという気持ちで打席に立てた」

「日本じゃないところで戦っている。1つにならないと勝てない」

▽12日・ドミニカ共和国戦(◯4−2)4打数2安打3打点
「なんとかしてあげたいと思った」

 1点リードの4回、1死一、二塁の好機でセンターへ追加点となるタイムリー。しかし、日本は7回、相手のレフトへのフライに対して、筒香が目測を誤り、エンタイトルツーベースとされる。その後、小川が同点2ランを浴びて振り出しに。不穏な空気が漂ったが、中田が8回2死二、三塁で左翼線へ勝ち越しの2点タイムリー。試合を決めた。

「僕も普段エラーしてみんなにカバーしてもらっているので、筒香が目測を誤って点を取られた時に何とかしてあげたいと思った。2本目のタイムリーは結果的にいい所に転がってくれてホッとしてます」

▽13日・希望選手のみの練習に“志願”の参加
「1つにならないと勝てない」

 試合はなかったが、12選手がグランドに姿を現した練習に志願の参加。フリー打撃を行った後は、筒香とともに外野をゆっくりと走り、汗を流した。練習後の取材では、台湾メディアからの直撃取材を受け、陽岱鋼との対戦が実現する可能性ついて「楽しみです」と答える場面もあった。

「(練習参加は)ちょっと汗をかいて、また明日いいスタートを切れるように、体を動かそうと。いい感覚を忘れないためにも、バットを振っておきたかったですし、(調子を)維持させたいというよりも、感覚を忘れないようにと思って。

(ドミニカ共和国戦の決勝打を振り返り)僕も筒香とか周りの選手に助けていただいている。同じユニホームを着て、日本じゃないところで戦っているわけですから、1つにならないと勝てない」

「力のあるバッターが多いので、守備の方で足を引っ張らないようにしたいです」

▽14日・米国戦(◯10−2)4打数1安打3打点
「すごくいい結果を残せている」

 筒香の中前タイムリーで2−2の同点に追いついた直後の6回1死一、二塁で、左中間へ豪快な勝ち越し3ラン。中盤まで接戦だった試合のペースを完全に日本に引き寄せた。7回には2死一、二塁の場面で冷静に四球を選び、続く松田のグランドスラムにつなげた。

「筒香の同点タイムリーで楽な気持ちで打席に入れて、結果的にホームランという形で仕事ができて本当に良かったです。(これまでに3試合で11打点は?)すぐに出てこないぐらい、すごくいい結果を残せている。あるとは思うけど、ぱっと出てこないぐらい前の話だと思う。(守備でもいいプレー)普通のファーストゴロを普通にさばくことができてよかったです」

▽15日・ベネズエラ戦(◯6−5)4打数2安打2打点
「今までのことは全て忘れて、明日からの戦いに集中したい」

 2点のリードを許して迎えた8回、2死二、三塁で筒香が敬遠。すると、中田が3番手エルナンデスから放った打球は高く舞い上がって左中間を抜け、逆転タイムリーに。9回に守護神・松井が逆転を許したものの、最後は中村晃のサヨナラヒットで日本が勝利した。

「(逆転打は)打った瞬間に犠牲フライかと思ったけど、ラッキーな形でヒットになってよかったと思います。(筒香敬遠は)左ピッチャーで左打者を敬遠したので、ちょっとびっくりしましたけど…。まぁ、気合は入りました。勝負はこれからなので、今までのことは全て忘れて、明日からの戦いに集中したい。やるしかないです」

 強化試合で対戦済みのプエルトリコについては「力のあるバッターが多いので、守備の方で足を引っ張らないようにしたいです」と話した中田。相手投手陣については「ミーティングがあるので、そこでしっかり考えたい」と話すにとどめた。“恐怖の6番打者”のバットから、目が離せない。