韓国メディア・亜洲経済の中国語版は20日、韓国の三大造船メーカーにとって「海洋プラントの存在が悪夢へと変わりつつある」と伝え、大宇造船海洋およびサムスン重工業、現代重工業が1年間で海洋プラント事業によって被った損失は8兆ウォン(約8600億円)に達すると報じた。

 記事は、大宇造船海洋がこのほど海洋プラント事業などによる損失を隠していたことを紹介し、損失額は約2兆ウォン(約2200億円)に達すると紹介した。さらに、サムスン重工業は2012年から13年にかけて受注した海洋プラントの建設に遅れが生じ、15年第2四半期に1兆ウォン(約1100億円)規模の損失が生じる可能性があると報じた。

 また、14年にすでに3兆ウォン(約3300億円)の損失を計上している現代重工業について、「6四半期連続で赤字となっており、15年第2四半期も赤字から脱却できない見込み」と伝え、「韓国の三大造船メーカーは海洋プラント事業において約1年で8兆ウォンもの損失を出したことになる」と報じた。

 さらに記事は、海洋プラントはかつて「韓国造船業を救ってくれた存在」と伝え、10年の欧州債務危機のぼっ発後、船舶受注量が激減した韓国造船業において「原油価格の上昇を背景に、エネルギー企業が石油開発に向けて海洋プラントを大量に発注した」と紹介。

 一方で、海洋プラントの建造費はタンカーなどに比べて非常に高額だが、工期が長いうえに建設のクオリティに対する要求も極めて厳格だと指摘。また、韓国造船業が深刻な危機に直面している最大の理由は「能力不足」にあるとし、韓国の造船メーカーは海洋プラントを自国だけで建造することができず、必要となる建材の半分以上を輸入に頼っていると指摘。人的資源も不足しているなか、各メーカーは「落札することだけに注力した結果、工期の遅れも発生している」と報じた。(編集担当:村山健二)(写真は亜洲経済の中国語版の20日付報道の画面キャプチャ)