こぶし丸は見た目からしてゆるい雰囲気

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全国にものすごい数のゆるキャラがいるため、大阪ではゆるキャラのリストラが行われるほどだが、人気演歌歌手・北山たけしさんを応援する、ゆるキャラがいる。名前は「こぶしまる」。北山さんを応援するために、<「演歌の星」からやってきた、演歌が大好きな宇宙人>。デザインは北山さんの大好きなネコがモチーフだそうだ。

歌手のゆるキャラ、という存在自体がまず珍しいが、それ以前に「こぶしまる」、ゆるキャラとしてもムダにでかく動きが悪い。しかも、事務所非公認、もちろん、師匠の北島三郎さんにもまだ報告できていない。5月に放送されたバラエティ「有吉反省会」で、北山さんとこぶしまるが登場し、そういった点が“反省”材料となっていた。

そんな北山さんが歌う新曲、「かたくりの花」のDVD付きCDが発売された5月20日、そのキャンペーンの一環として、ファン対象の“ティーパーティー”がおこなわれた。横浜市のモザイクモール港北にオープンした、新星堂が手がけた初のカフェ併設店舗に、抽選で当選した北山さんのファン60人が招待された。
北山さんは2011年から、新星堂とのコラボ企画で、新曲リリースに合わせて様々な場所でいろんなことに出没するイベント、「北山たけしのぶらり旅」を実施している。これまでにも屋形船やプラネタリウム、寿司屋の板前挑戦など、さまざまな企画に挑戦してきたが、今回はその第7弾、場所がカフェということで、バリスタに扮した。

「コーヒーが大好きで、1日6杯は飲むんですよ」と言う、北山さん。バリスタにはとても興味があって楽しみだったという。

司会者の女性にうながされ、まず、こぶしまるが登場。「こぶしまるちゃ〜ん!」「カワイイ〜!」こぶしまるに熱い声援が飛ぶ。こぶしまるは、「かたくりの花」のリリースに合わせて誕生キャラだが、早くも人気を集めているよう。

それにしても、こぶしまる、やはりデカい。それだけに歩く姿もおぼつかなく見えるが、そこがまた、愛嬌になっている。

イベントがスタートし、北山さんが登場すると、「たけちゃ〜ん!」「カッコいい〜〜!」と、うちわを振り上げ、熱狂的な声援がとぶ。

カフェのカウンターに入り、前もって練習したというラテづくりを始める北山さん。「似合ってますか?」という問いかけにはもちろん、「似合ってる!」という声が。「前回の巻き寿司のときのようにはいかないですね」というが、ファンも、その手つきにうっとりだ。

今回は簡単なラテアートにも挑戦ということで、出来たラテにココアパウダーをふりかけると、カップに現れたのは、「こぶしまる」のイラスト。

なかなかの完成度の、特製「こぶしまるラテ」。注文したお客さんは、実際に飲むことも出来た。

演歌歌手とゆるキャラという斬新さもウケたのか、このこぶしまる人気に、「最近は、こぶしまるのほうが注目されていますが」「僕がもう、おまけみたいなもんで」「こぶしまるへの取材が次々と舞い込んでいます」と、自虐的なギャグもとばす北山さんとスタッフ。先日行われたキャンペーンでは、北山さん自身が実際に着ぐるみの中に入り、大変さを痛感したばかりだ。

会場のノリも手伝ってか、当初の2曲の予定が、1曲追加して、「かたくりの花」を含む計3曲を熱唱。歌いながらファンの前を順にまわり、握手したり肩に手を置いたりなどしながら、「目をそらさないでくださいね」「遠くからありがとうございます」と、優しく声をかけ微笑んでいく。
かたわらで応援する「こぶしまる」も、ファンにポンポンされ「カワイイねえ〜」と言われている。しかも、どこかカワイイ孫やペットに話しかけるような、優しい口調だ。

イベント会場には、北山さんの衣装の展示や、北山さんのお父さんが録音し保存していたという、小学6年生のときの歌声が流されていた。

実際にバリスタに挑戦し、「難しいですね、職人さんの仕事というのは。そのすごさをあらためて感じることができました」と感想を語る北山さん。自宅でもラテアートに挑戦してみたいかというと、「実は、ブラック派なんです……」と苦笑した。

こぶしまるには、若い世代などにも演歌の魅力を広めていきたいという思いもある。演歌界には、天童よしみさんや八代亜紀さん、そしてもちろん北島三郎さんなど、もともとキャラの強い歌手はたくさんいる。こぶしまるがきっかけで、演歌歌手のゆるキャラが続々誕生したら、それはもう、すごい世界間違いなしだ。
(太田サトル)