セリエAやミランへの愛着を今でも語るイブラヒモビッチ。古巣復帰はありえなくはないが、解決すべき問題は多い。 (C) Getty Images

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 タイの富豪、ビー・テチャウボン氏を少数株主として経営陣に加えることで合意に達したミランのシルビオ・ベルルスコーニ会長は、来シーズンに向けたチーム強化に動き出している。
 
 最大の焦点は監督人事。“夢”はカルロ・アンチェロッティを呼び戻すことだが、たとえ今シーズン限りでレアル・マドリーを去ることになっても、マンチェスター・シティという強力な競合相手がいて復帰実現は難しい。
 
 そこでターゲットとなっているもうひとりの大物が、現在イタリア代表を率いているアントニオ・コンテ。しかし、コンテはEURO2016本大会までの契約を残しており、本人が強く望んでイタリア・サッカー協会との契約を破棄しない限り、招聘は不可能だ。
 
 現実的な有力候補として名前が挙がっているのは、昨夏も噂に上ったウナイ・エメリ(セビージャ)。ベルルスコーニ・オーナーの良き助言者であるアリーゴ・サッキの推薦もあって、リストの上位にいることは間違いない。
 
 他には、ヴィンチェンツォ・モンテッラ(フィオレンティーナ)、シニシャ・ミハイロビッチ(サンプドリア)も候補。一時有力とされたジョルジ・ジェズス(ベンフィカ)は、考え方がミランのポリシーと合わないという判断で、リスト上の順位が下がっているようだ。
 
 戦力面については、テチャウボン氏のパートナーである投資ファンド「ドイエンスポーツ」が保有権を持つ選手を無償で貸し出すという形で、強化に協力するという構想も持ち上がっている。
 
 それに関連して、ラダメル・ファルカオ(マンチェスター・ユナイテッド)という大物の名前も挙がっているが、ベルルスコーニ・オーナーの意中の選手はズラタン・イブラヒモビッチである。
 
 今シーズン限りでパリ・サンジェルマンを去る可能性が噂されているイブラヒモビッチだが、もし年俸の大幅ダウンを受け入れるのなら、3シーズンぶりのミラン復帰も現実味を帯びてくるだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎