「スマホはパソコンであって電話ではない」 「ガラケー」復帰が進む理由はここにある
従来型の携帯電話、いわゆる「ガラケー」への回帰が進みつつある。2014年(1〜12月)の携帯電話全体の国内出荷台数が減少するなか、ガラケーは前年比5.7%増の1058万台と2007年以来7年ぶりに増加に転じたのだ。
民間調査会社「MM総研」(東京都港区)の調査で分かった。
ガラケーは2013年の1001万台から57万台増加
それによると、スマホを含む携帯電話全体の出荷台数は前年比2.5%減の3828万台で、過去最高だった2012年(4375万台出荷)以降、2年連続の前年割れになった。買い替え需要が一服したスマホが前年比5.3%減の2770万台と2年続けて減少した影響が大きい。
一方のガラケーは2013年の1001万台から57万台増加した。減少が続いていたが、底を打った形だ。携帯端末の契約比率ではスマホが52.3%で、ガラケーの47.7%を上回る。しかし、スマホが年間100万台規模で出荷され始めるようになった2008年以降、ガラケーが前年を上回るのは初めてだという。
ガラケーが復調してきた理由について、業界からは「スマホの通信料金の高さや使い勝手の悪さが敬遠されたのに加え、通話やメールなど最低限の機能で十分という利用者が少なくないから」との指摘がある。
スマホから使い勝手のいいガラケーに戻す動きも
今回のニュースを受け、ネット上でも「スマホは電池持たないし高い」「スマホは不安定でトラブルが多い」「タブレットがあるから携帯はガラケーで十分」などとスマホを敬遠するコメントが並ぶ。インターネットやアプリなどが売りのスマホだが、「スマホはパソコンであって電話ではない」との認識が広がり、シンプルな機能のガラケーが見直されているというわけだ。
携帯各社はガラケーから、より利用料が高いスマホへの切り替えを進めようと各種施策を展開してきたが、そのスマホシフトも最近は鈍化傾向にある。逆にスマホから使い勝手のいいガラケーに戻す動きが出始めている。
こうしたガラケーの根強い人気を受け、大手携帯3社も2014年秋から新モデルを投入し、ガラケーユーザーの取り込みに力を入れ始めた。さらにガラケーユーザー向けの新たな取り組みも進む。KDDI(au)が春モデルにスマホのような機能を持つ折り畳み式の携帯電話を投入したほか、ソフトバンクが5月末まで他社から乗り換えるガラケー利用者を対象に通話料金を割り引くキャンペーン「ガラケーのりかえ割」を始めた。ガラケーが注目されるなか、これからも携帯各社からガラケーユーザーを狙ったサービスが打ち出される可能性がある。