このキーパットじゃないとメールが打ちにくい、という人も多いはず。ガラケーはいまだに“人気機種”だ

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秋冬商戦を迎え、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの3大キャリアがケータイの新ラインアップを発表。その大半をスマホが占めるなか、実はひっそりとガラケーの新機種も名を連ねていた。

ドコモからは昨年発表したモデルを踏襲した「N-01F」と「P-01F」、auからは「グラティーナ」と「マーベラ」、ソフトバンクからはカラーバリエーションが豊富な「カラーライフ4」と、画質に特化した「プレミアム10」という計6機種である。

3社がそろってガラケーの新機種を発表したのは久しぶりのことである。このスマホ全盛のご時世に、なぜこぞって新ガラケーを発表したのか? 青森公立大学経営経済学部准教授でモバイル研究家の木暮祐一氏はこう解説する。

「スマホでアプリやインターネットを利用するのは電車などの移動中が多いですよね。ですから、メインの移動手段が車という地方在住者には、スマホの必要性はそこまで高くない。地方ではお年寄りに限らず、ガラケーは根強いニーズがあり、スマホが普及したここ数年も、各キャリアは1年に1度くらいは新機種を出しています」

民間調査会社のMM総研(東京都港区)の発表によれば、今年9月末時点でのスマホの総契約件数は5015万件。対してガラケーは6862万件。実はまだまだガラケーユーザーのほうが多数派なのだ。

ガラケー=時代遅れというイメージについて、木暮氏はこう指摘する。

「それこそがキャリアの戦略なんです。パケ放題の基本料金プランは、ガラケーなら高くても4000円から5000円でしたが、スマホだと最低約7000円。要するにユーザーがガラケーからスマホに変えると、キャリア側は大きな増収になるため、なんとしても移行してもらおうとスマホ普及に躍起になっているんです」

ガラケー優位は料金だけでなく、電池持ちのよさ、メールの打ちやすさなどもある。だが特筆すべきは、なんといってもその通話性能の高さだ。

「スマホはイメージとしては“小さいPCに通話機能をつけたもの”。ガラケーは“電話にいろいろな機能を載せたもの”。無線通信できれいな音声を届けるというのは案外難しく、各メーカーが長年かけてノウハウを蓄積してきた部分でした。通話音質ではガラケーが圧倒的に優位に立っていると感じますね」(木暮氏)

ドコモの加藤薫社長が新機種発表の席で「ユーザーから要望が寄せられた」とガラケーの再投入について説明していたように、ガラケーはまだまだ人気機種なのだ。

(取材/武松佑季、昌谷大介[A4studio])

■週刊プレイボーイ48号「スマホの不満を一発解消!!ガラケーの逆襲が始まる!?」より