大迷惑のゴミ屋敷問題。近隣住民が撤去を要求すれば、「これはゴミじゃない、動産だ」と言われ、グーの根も出ない…。
 東京都23区の中では、ゴミ屋敷に関連する条例を杉並、大田、荒川区がそれぞれ定めているが、先ごろ足立区は、家主のゴミ撤去費用負担などの支援にまで踏み込んだ条例を制定した。と同時に、環境保全の観点から動きやすくするため、近隣からの情報提供にも迅速に対応するとしている。
 「ゴミ屋敷は外から見えますが、中の様子が見えないマンションの方が、実際は圧倒的に多いのです。今回、足立区が施行するという『足立区生活環境の保全に関する条例』は、『審議会が認定すれば、行政代執行法に基づく強制撤去も可能とした』という部分が画期的ではありますが、外部(公道など)にあふれだしたゴミには対処できても、区分所有や共同住宅の室内のゴミ問題まで適用されるかとなると疑問です。実際、“ゴミマン(ション)”は、屋敷どころの数ではありません」(都内の不動産コンサルタント)

 “ゴミマン”には、どんな人が住んでいるのか。
 「屋敷の場合、偏屈で高齢の人物が登場して近隣住民とトラブっている様子が報道されたりしますが、ゴミをため込んだマンションの住人は普通のサラリーマンやOLで、中には6畳間に5、6年で“自分の胸”までゴミで埋まったというケースもあります。昼夜逆転で働く人の多い都心には『ゴミマン予備軍』は相当数いるはずです」(都内の清掃業者)

 問題は自分の住居が“ゴミマン”だと気付いていないことだ、とこの業者は言う。そのような理由もあって、今回の足立区の条例では、周辺からの情報を期待しているという。要するに、部屋を汚く使っていると、行政から怒られるということだ。
 環境破壊は罪となる。ゴミをためても利子は付かないのだから、片付けるべし。