ソフトバンクは10月1日、イー・アクセスの株式を株式交換で取得することによって2012年内に完全子会社にすることを発表した。イー・アクセスの株式評価額は1株あたり5万2000円で、「直近の時価1万5000円と比較して3.5倍程度に高く評価した」(ソフトバンクの孫正義社長)が、「ソフトバンクグループへのシナジー効果で十分にソフトバンク株主の理解を得られる」(同)とした。

 10月1日に都内で共同記者会見を開催し、ソフトバンクの孫社長は、「iPhone5のデザリングを、2013年1月15日からサービス開始するとしていたものを、2012年12月15日から前倒しでスタートする」「ソフトバンクのiPhone5は、ソフトバンクが持っている2.1GHzの電波に加えて、イー・アクセスが持つ1.7GHzの周波数帯のダブルエンジンを持つことで、より優れたLTEネットワークを獲得する」「イー・アクセスの回線数が加わることによって、ソフトバンクグループはKDDI(au)を抜いて国内第2位のキャリアになり、2012年度中に4000万回線の獲得にメドがたった」などと、経営統合の効果を強調した。

 今回の統合による「シナジー効果」として説明したのは、(1)顧客基盤の強化:2000億円、(2)ネットワークの共用:1100億円、(3)その他:500億円。中で、顧客獲得コストとして「イー・アクセスは、モバイル契約数(420万件)を1件あたり3万円、非対称デジタル加入者線(ADSL)契約数(140万件)は1件当たり7000円のコストをかけて契約してきている。この顧客獲得価値だけで既に1360億円の価値があると判断しているが、統合によって顧客獲得が加速する効果はさらに大きい」と強調した。

 また、ソフトバンクの基地局とイー・アクセスの基地局を相互に連携する効果も大きいと語った。既存のイー・アクセスの設備投資額(減価償却後)の価値が2260億円と試算した上で、既存のイー・アクセスの基地局に、ソフトバンクの通信設備を付加していくとした。「もとより、両社が使っている通信機器は同じ機器を使ってきているので、親和性が高いネットワークを互いに持っている」という。具体的には、2013年3月までにソフトバンクの2.1GHz基地局を2万局、加えて、イー・アクセスの1.7GHz1万局で合計3万局の基地局をLTEの基地局として整備する計画とした。(編集担当:徳永浩)