スマイルが“標準モード”なインドネシア

海外駐在員ライフ Vol.161

From Indonesia

イベントの展示も前日の突貫工事で完成!そんなインドネシアのビジネススタイルとは?


■怒ったり声を張り上げる行為は軽蔑の対象に

はじめまして。「37」です。日系メーカーのインドネシア販売代理店に勤務し、営業部門の業務全般において、日本本社とのコーディネーター(調整担当)をしています。

同僚は、日本人駐在員数人を除き、すべてインドネシア人です。顧客もすべてインドネシアの企業で、やりとりをする相手もインドネシア人。仕入れ元や、当社のアジア地域統括本社では、日本人をはじめ、いろいろな国籍の人が働いています。

社内公用語は英語。インドネシア人スタッフのほとんどは、英語が話せます。留学経験者を除けば、それほど語学堪能というわけではないのですが、クセのないセオリー通りの英語を話してくれるので、わかりやすくて助かります。ただし、インドネシア語では、英語の「過去形」のように、「時制」によって動詞が変化することがないことから、どうも「時制」は苦手なようですね。

インドネシアの人々は、非常に温厚です。表情を見れば、それは一目瞭然。基本的に微笑み(ほほえみ)を浮かべているので、ホッとさせられます。それだけに、インドネシアでは、怒ったり声を張り上げたりする行為は軽蔑の対象となるそう。赴任当初、それだけはするなと言い含められていたので、私自身、怒りを表面に出さないようにとても気をつけています。前任地では、むしろ怒りを露(あら)わにすることで、ローカルスタッフを奮起させる役回りだったので、そのころとは対照的です。


■前日の突貫工事でイベント展示が完成

仕事の仕方としては、本来ならきちんと決めて進めるべきことを、あいまいなままに進めがちな特徴があります。業務でやりとりが必要な関連会社の部署はわかっていても、担当者がわからなかったり、法規制や商談の進捗、諸々の決定事項の検討プロセスなども、細部を詰めずにのんびり進めています。こちらが気をもんでいても、スタッフの多くは「細かいことにこだわっても仕方ない」「何とかなるよ」といったスタンスでいたって呑気(のんき)。赴任当初は不安になることもしばしばでした。

しかし、蓋(ふた)を開けてみると、本当に何とかなってしまうことが多いのです。例えば、あるイベントに出展したときのこと。イベント当日から逆算してスケジュールを立て、周到に準備を行うものと思っていたところ、1週間前になってもイベント会場の展示スペースはからっぽなまま。ところが、そこから恐るべき馬力で、前日には徹夜までしての突貫工事。当日はどうにか形になってしまっているのだから驚きます。

とはいえ、彼らは決して怠けているわけではないようです。どうやら事前に準備しても、法規制などのビジネス環境が急に変わるため、ギリギリになってから動いた方が効率が良いと考えている模様。2012年4月からガソリンが値上げされることになったときなど、ガソリン価格が製品需要に多大な影響を及ぼすと考えた当社では、早急に対策を講じなければという危機感があったのですが、ローカルの社員たちは「そんなに影響ないと思いますよ」とのんびり構えています。やきもきしながら事の推移を見守っていたところ、果たして、値上げ法案はもめにもめた挙句、立ち消えとなってしまったのです。

法規制に抜け道があるのもこの国の特徴で、コンビニの乱立を懸念した出店規制の法律が施行されても、構わず競合店のすぐ近くに出店している店があります。聞けば、「うちはコンビニじゃない。上に飲食スペースがあるから『カフェ』なんだ。カフェが商品を下の階で売っているだけなんだ」という理屈だそう。万事この調子なので、インドネシアでは、法改正の影響はさほど大きくないという印象があります。増税前に駆け込み需要がある日本とは大きな違いですね。

次回は、ジャカルタのイスラム文化についてお話しします。