日本弁護士連合会会長の宇都宮健児弁護士

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 貧困問題に取り組む日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏が、BSジャパン『勝間和代#デキビジ』に出演し、悪化する日本の「貧困率」について、「政府が、(相対的)貧困率を公表したことは評価できるが、発表しっぱなしで何のためにやっているかわからない」と述べ、貧困率の改善に向けて、政府全体として取り組むべきだと指摘した。

 相対的貧困率とは、全国民の等価可処分所得(世帯の可処分所得=所得のうち自由に使えるお金を調整し、算出した値)の中央値に対し、その半分に満たない世帯員の割合をいう。厚生労働省が2011年7月に発表した相対的貧困率は16.0%。この数値は2009年、民主党政権発足を機に公表された値に比べ0.3ポイント増加しており、過去最悪のものとなった。

 悪化する貧困率について宇都宮氏は、

「日本は、先進国の中でも(相対的)貧困率や貧富の格差が大きく、(格差を糾弾するデモの行われた)アメリカに似たような現状がある。日本の豊かさを示す指標として、GNP(国民総生産)の他に貧困率を測定し、削減目標を立てるべき」

と訴えた。

 また、「戦後、貧困率を調査した政権はなかったので、政権交代後に公表したことは評価できる」としながらも、貧困率と高まりとともに児童虐待の件数が増加していることなどを指摘。政府には「深刻な反省がない」とし、「(貧困率を)発表しっぱなしで終わっていて、何のためにやっているか分からない」と批判した。宇都宮氏はさらに、

「政治の貧困が社会の貧困を生みだし、貧困をさらに悪化させている」

とし、政権交代前から「年越し派遣村」などをとりあげてきた民主党政権が主導して、この問題に取り組むべきだと訴えた。

◇関連サイト
・BS JAPAN「勝間和代#デキビジ」 - 公式サイト
http://www.bs-j.co.jp/dekibiz/
・[ニコニコ生放送] 宇都宮弁護士の訴えから視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv70670794?po=newslivedoor&ref=news#27:28

(藤崎桂太郎)