元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏率いる中国の深センが、同クラブ所属のFW巻誠一郎選手との契約を解除する方針であることがわかった。中国のスポーツメディア新浪体育によると、巻選手はケガの状態が思いのほか悪く、契約解除は苦渋の決断だという。

現在、深センは主力選手の多くがケガで離脱しており、中国スーパーリーグ初参戦の若い選手を中心に試合に臨まなければならない厳しい状態が続いている。巻選手はMF楽山孝志選手とともに“助っ人”外国人選手として今シーズンから深センに加入したものの、古傷の足首の状態が悪く、出場は9試合中4試合のみ。チームへの献身的なプレーが評価される一方、FWとして求められる得点は1点も挙げておらず、一部サポーターからは批判の声も上がるようになっていた。

今回、深センが巻選手との契約解除へ踏み切ろうとしている背景には、中国スーパーリーグの移籍期間がオープンする事情がある。中国スーパーリーグでは、試合の勝敗を決めるのは60〜80%が“助っ人”外国人選手の活躍次第と言われており、それだけ外国人選手への期待が大きい。深センとしては、これまでゴールを挙げていない巻選手を放出し、移籍期間中に他の外国人選手を獲得しようという目論見があるわけだ。

とは言え、新浪体育は「(巻選手は)出場した4試合では不屈の精神を見せてくれた」と論評。トルシエ監督も「(巻選手との契約解除については)とても残念」とコメントを発表するなど、巻選手のパフォーマンス自体は評価されていた。それだけに、ケガで退団という形になるのは無念の結果だろう。

なお、巻選手が欠場した6月12日の中国スーパーリーグ第10節では、深センはホームで青島と対戦し、楽山選手が記念すべき同リーグ初得点を挙げた。チームも1-1で引き分け、順位を14位に上げている。新浪体育によると、楽山選手のゴールは中国スーパーリーグで日本人選手が決めた初ゴールとのこと。チームメイトである巻選手がチームを去るのはほぼ決定的だが、楽山選手には今回の得点を自信に、引き続きチームに貢献する活躍に期待したいところだ。