スペインのメディアから批判が鳴り止まないレアル・マドリーのカリム・ベンゼマ(22)。今シーズンはリーガでわずか1ゴールと結果を出せずにいる。モウリーニョ監督の信頼をかちとることもできず、出場7試合のうちスタメンは1試合のみ、ピッチにいたのは184分と出番も少ない。

 ベンゼマの母国フランスでは、同じように若くしてマドリー入りしたニコラ・アネルカの二の舞か、と懸念する声も上がっている。アネルカは1999年、2億2000万フラン(3354万ユーロ、現行レートで約37億6000万円)という当時の史上最高の移籍金で入団した。ベンゼマの移籍金も3500万ユーロと推定されるから大差ない。入団当時の年齢はアネルカが20歳、ベンゼマが21歳とこれもほぼ同じだ。

 1年目の成績は、アネルカが全公式戦33試合で7ゴール、ベンゼマが34試合で9ゴール。数字だけで見れば、たしかに近い2人だが、大きな違いがあるとしたらアネルカが1年でマドリーを去ったのに対し、ベンゼマは2年目に突入していることだ。

 アネルカが1年で早々に見切りをつけられた一方で、ベンゼマはまだクラブの期待をつなぎ止めている。ヴァルダーノGMがレキップ紙に語ったところでは、「まだ若い選手。成熟に至るには時間が必要だ。いまは何らかの庇護を必要としている。とても厳しいプレッシャーと、非常に高い国際レベルの競争にさらされているからだ」と理解を示し、クラブを挙げて才能を引き出すことに努めているのを強調した。

 ただし同氏は、昨シーズンのゴンサロ・イグアインがいまの時期に同じく1ゴールしかあげていなかったことを引き合いに出し、「現時点で判断するのは早すぎる」として冬の移籍市場に出すことは否定したものの、来季についての確約はしていない。「来年5月もレアル・マドリーのユニフォームを着けているだろう」という言葉を裏返せば、今季このまま不発に終われば放出、というニュアンスにもとれる。

 一方、マドリーで成功できなかったアネルカは、アス紙のインタビューで、「1年で新しいチーム、新しい街に溶け込むのはつねに困難を伴う。ベンゼマはまだ若いし、国外でプレーするのはこれが最初。フランスで見せた高いレベルをスペインでも発揮するだろう」とエールをおくっている。