稀代の経営者と異色企業を大解剖した「週刊ダイヤモンド」7月24日号の特集「破壊王・孫正義のソフトバンク」からのウェブ特別公開の最終回は、孫正義社長インタビューの後編。新30年ビジョン、後継者問題、そして「光の道」(光回線を全国に張り巡らす構想)について、孫氏が縦横無尽に語る。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

※インタビュー前編はこちら


孫 正義●ソフトバンク社長
1957年、佐賀県生まれ。高校中退後、米カリフォルニア大学バークレー校卒業。79年、米国でソフトウエア会社を起業。帰国後の81年、24歳で日本ソフトバンク(現ソフトバンク)を設立。94年の店頭公開以降は、“日本を代表するベンチャーの雄”として知られてきたが、2010年9月には創業30周年を迎える。
Photo by Toshiaki Usami

―孫さんは、「最近はパソコンを使わなくなった」ということですが、どうしているのですか?

 今は、パソコンは使わず、iPhoneとiPadだけで、99.9%の仕事をこなしていますし、日常生活においてもそうです。

 僕が言いたいのは、自慢ではなく、未練なく“切り替える”ということの重要性です。かつては誰もが使ったフロッピーディスクやなじみのあるパソコンのキーボードに固執するのではなく、技術の変化とともにビジネスモデルを変えていく必要があるということなのです。古いやり方にこだわりを持たない、ということです。

 情報革命を推進するということは、常に革命を起こし続けていくということだと思います。でも、自分たちでできることには限りがありますので、世界中にいる優れた技術やビジネスモデルを持つ人たちと組むのです。しかも、「情報革命で社会を豊かにする」という志があれば、国や組織が違えども、同志的に結び付いていけます。

 ソフトバンクは、大きな会社に成長しましたが、今でも心は永遠にベンチャー企業です。心が成熟してしまうと、勢いがなくなる。これからも、ぐいぐい会社を伸ばそうという前向きな気持ちでチャレンジするのですから、常に危険と背中合わせです。でも、そのような状態でハラハラ、ドキドキすることは、僕はベンチャラス(冒険的)だと思います(笑)。

 まだまだ、チャレンジし続けていかなければなりませんし、一般的な大企業のように「巡航速度で飛び続ける」つもりもありません。

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