増え続ける記事のコメント、現在10万件を超えている

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韓国で先日、釜山の女子中学生イさん(13)が拉致され、殺害されるという痛ましい事件が起きた。イさんが失踪したのは先月24日。近くに住むキム・ギルテ容疑者(33)の犯行とすぐに推測され、公開捜査が行なわれたがなかなか捕まえられず、結局、事件発生から2週間後に事件現場近くで逮捕となった。イさんは貯水タンクの中から見つかっている。

キム容疑者は性犯罪で前科2犯で、合計11年の服役後も再犯の可能性があるとして危険視されていた。しかし、警察の監視網からは完全に外れており、韓国のマスコミらは一斉に検察叩きを行なっている。特に、イさんは拉致されてから1週間は生きていたとする司法解剖の結果が出たため、「なぜもっと早く発見できなかったのか」という声は多い。検察の不手際やキム容疑者の犯罪歴を報じるなど、マスコミの報道は過熱している。

しかし、韓国のネットユーザーらはこの事件に関心を寄せつつも、もっと大きな関心を寄せているニュースがある。

こちらの問題の発端は、2008年7月に開かれた北海道洞爺湖サミットにさかのぼる。文部科学省は中学校社会科の新学習指導要領解説書に、竹島問題の記載を検討していた。当時の福田康夫元首相はサミット会場のホテルで李明博大統領に「竹島を書かざるを得ない」と告げると、李大統領は「今は困る。待って欲しい」と述べたという。

この李大統領とのやりとりを伝えたのが、2008年7月14日付の読売新聞なのだが、これに韓国側は事実無根と強く反発した。なぜこんなにも反発したかというと、李大統領の「今は困る。待って欲しい」発言は、「今はダメだけと、世論が静まったら大丈夫」とも受け取れてしまうからだ。韓国の市民訴訟団は読売新聞を相手取り、損害賠償を求める事態にまで発展した。

今月17日には、その請求訴訟の弁論の期日を迎える。この期日を前に読売新聞は9日、ソウルの中央司法に文書を提出。文書には「当時、朝日新聞も表現は少し違うが読売と同様の報道をしていた」「互いに違う新聞社が同一の趣旨の内容を記事化したということは、報道の内容が取材活動に基づいた客観的な事実の伝達であるということを証明している」「信憑性のある事実情報に根拠のないまま報道することは、常識的にありえないこと」という読売側の主張が記されているという。

これが韓国メディアの取材により明らかとなると、韓国のネットユーザーたちは再び反発した。
「一国の大統領が、迂回的に領土を他国に渡すという発言をしたということか。国民を欺き、国を否定する行為だ」
「日本政府と戦い事実をはっきりさせるべき」
「待ってくれだと?ある者は独島のために寄付をして広報活動をしているっていうのに…」
「大統領としての資格は無い」
「弾劾するべき!」
などなど、李大統領や李政権を猛烈に非難するコメントが、大量に書き込まれている。

そして、その非難の矛先はテレビなどのマスコミにも向いはじめている。
ネットユーザーらの主張によると、マスコミは釜山の女子高生殺害事件ばかり報じていて、李大統領による重大問題についてはあまり報じていないとのこと。

現時点では、このニュースを伝えた記事に寄せられたコメント数は10万件を突破し、コメント数は増え続ける一方だ。これは盧武鉉前大統領の死亡を伝える記事(1万564件)の10倍、金大中前大統領の死亡を伝える記事(8009件)の13倍の量である。

この勢いはまだまだ静まりそうな気配はなく、むしろ過熱する一方だ。今後の動きによっては、米国産牛肉輸入騒動以来の大きな危機が李政権にやってくるかもしれない。

参照:読売「MB‘待ってほしい’独島発言は事実」 - 国民日報
参照:読売「MB‘待ってほしい’独島発言は事実」…論争再燃 - マイデイリー
参照:MB「独島発言」記事にコメント7万件を超える - オーマイニュース

(文:林由美)

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