日常生活で、死体を見ることはめったにない。しかしながら、インターネットの出現は、その当たり前の日常を変えている。

米国国立衛生研究所の一機関に全米医学ライブラリ(NLM)というのがある。そこには、人体の解剖構造データベース「Visible Human」があり、人体をCTやMRIで撮影した画像や冷凍された男女の死体の断面画像などが収録されている。

The Visible Human Project
http://www.nlm.nih.gov/research/visible/visible_human.html


その一部の映像は、You Tubeで下記のように処理されて公開されている。処刑された殺人犯の遺体をゼラチンで固めて凍らせ、輪切りにするような形で1800回=1mm間隔でスライス。それを1つ1つデジタル撮影して高速スライドショーに仕上げている。頭部からスタートして、胴体へ、お尻へ、そして、足へ、つま先へ・・・。不思議なほど、グロテスクではない。爽やかですらある。





遺体を完璧にスライスし、完全にデジタル化したこの映像は、インターネットというインフラに埋葬された21世紀版のミイラである。このようなデジタルミイラは、ネットの中で「死んでるけど死んでいない」状態を続け、アクセスする視聴者と永遠にコミュニケーションを続けることになる。


「ミイラ取りがミイラになる」という言葉がある。昔々、ミイラには一種の漢方薬として不老不死の薬効があると信じられ珍重された。そのため古代の人達は、その薬効がある言われる油を取る為にミイラを探しに、困難な自然に立ち向かっていったが・・・途中で、力尽きて死んでしまい、自分がミイラになってしまうと言う話しから来ている。


では、ネットの中を彷徨う「21世紀版のミイラ取り」は、いったい何を求めているのだろう?デジタル処理をされて半永久的に残る「自分の死」をイメージすることは、「いま生きていること」の何かに役立つのだろうか?
う・・・ん、考えると夜も寝られなくなる・・・。

続きはこちら