エンジニア400人に聞いた住宅手当・社員食堂の満足度
先進的なIT企業の中には、従業員が都心の好きなところに住めるように住宅手当をはずんだり、社員食堂を充実させるところが増えてきたという「食・住」環境の充実は、エンジニアの働く意欲にも影響大。あらためて、エンジニアの住宅手当・食事手当の実態に迫ってみた。

意外と多かった「住宅手当ナシ、社宅・寮ナシ」の人
 衣食住は人間生活の基本。それは技術者にとっても当然だ。基本給はその生活のベースを保証する原資になるものだが、同時に、基本給外の住宅手当や食事手当、さらには社員寮や社員食堂の充実ぶりなど、福利厚生の内容には常に関心が集まる。最近の社員食堂事情をレポートしたTech総研の記事「腹が減っては技術はできぬ? エンジニア社員食堂の世界」も大好評で読者に迎えられた。そこで今回の給与WAVEでは、住宅手当、食事手当の実態に迫ってみた。

 今回、アンケートに答えてくれたのは全国のエンジニア400人。職種はソフト・ネットワークなどのIT系職種、電気・電子、機械系などのモノづくり系職種がそれぞれ半数だ。 まず彼らに住宅手当に関する質問をぶつけてみた。「会社から支給されている住宅手当制度をすべて選んで下さい」という質問には、「住宅手当がある」41%、「社宅・寮がある」20%、「住宅ローンが安く利用できる」8%などの回答が得られた(複数回答)。ただ、「住宅に関する手当はない」とする人も48%と約半分を占めている。約半分の人は住宅手当を支給されておらず、社宅や寮の制度があるのも2割程度ということになる。

 日本企業では以前から福利厚生の一環として社宅・寮の整備、持ち家推進のための住宅融資ローン、さらに住宅手当など住宅関連の補助政策を重視してきた。終身雇用が前提であった時代はこうした福利厚生策は社員のモチベーションを維持する上で重要な役割を果たしたものである。しかし、そうした福利厚生策は、バブル崩壊後に縮小される傾向が続いている。今回のアンケートにもその傾向は顕著に表れている。
 その中で住宅手当が支給されている人はまだマシなのかもしれない。住宅手当が支給されている人に月々の住宅手当の金額を聞いてみたところ、最も多いのは「1万円〜2万円未満」20%(住宅手当が支給されていない人も含む全体の中での割合、以下同様)、ついで「1万円未満」の15%となった。中には「10万円以上」という人もいるが、割合は1%ほどだ。

 もちろん住宅手当で実際の住宅費をすべてまかなえるはずはない。それなりの自己負担は必至だ。住宅費の自己負担分を聞いてみたところ、最も多いのは「5万円〜6万円未満」9%、ついで「3万円〜4万円未満」8.%となった。中には「10万円以上」負担する人も1%と少ないながら存在する。

 回答者の年収で最多層を占めるのは「400〜500万円」と「500〜600万円」(ともに24%)。仮に回答者の平均年収を500万円とすれば、自己負担額「5万円〜6万円未満」はほぼ年収の12〜14%を占める額だ。この負担を減らすためには、年収を上げるか、住宅費を抑えるか、あるいは手当など会社からの補助額を増やすかしかないということになる。

■地域・個人格差のある住宅費。これをどうにか補填してほしい
 賃貸マンション・アパートなどの住宅費は地域差が大きい。同じ負担額でも、どこに住んでいるかで負担感は変わってくる。

 地域による不公平感の一方で、家族のあるなし、実家に住んでいるか否かによる差を気にする人もいる。家族が多くても単身者でも支給額は一律という会社や、実家に住んでいる場合は、住宅手当が出ない会社も多いからだ。

 全体に、住宅手当のない会社では「支給してほしい」、住宅手当のある会社では、その金額を「上げてほしい」という声が圧倒的に多い。ただ、以下のような声もあることには耳を傾けたい。

■食材高騰を、弁当持参やワンコイン・ランチで自己防衛
 もう一つの根源的欲求「食」についてはどうだろう。「あなたの会社では、社員食堂などの食事に関する手当がありますか?」という質問には、「社員食堂がある」40%、「食事手当が支給される」15%という回答があった。その一方で「食事に関する手当はない」が51%だった。食にかかわる会社の補助施策の「ある・なし」は、ほぼ半々というところだ。

 ちなみに、ふだんの昼食をどこで食べているかについて聞いてみると、「お弁当を持ってくる」38%、「近所のコンビニや、弁当屋などで買う」32%、「社員食堂で食べる」31%が上位3位にランキングされた。「会社の近くのお店で外食」23.5%、「外出先の近くで外食」5.5%を上回る回答率である。

 小麦原料の高騰などで、食品価格が高騰するおり、比較的高くつく外食が敬遠され、外食産業の売上が落ちていることが報道されている。反対に伸びているのは、コンビニ・弁当チェーン店の売り上げだ。「弁当持参派」の割合が多いことも含めて、消費者の生活防衛的行動が、外食から中食(調理不要の弁当など食料品を購入後自宅・職場等で食べること)、さらに自炊への動きを加速しているのかもしれない。

 ちなみに平均の昼食代は「301〜500円」というのが35%で最も多い。500円玉一個のいわゆるワンコイン・ランチだ。ワンコインで、美味しく、ボリュームがあり、できれば栄養バランスのある食事となると、実際はなかなか難しいが、いまやぜいたくなど言っていられない状況なのだ。……≫続きはこちら

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