古書店で入手した声優志望者のためのカルチャービデオ。発売年は1990年(推定)。声優に憧れる人達は昔からいたわけであります。

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先日、某会社の社長さんに「知り合いの娘さんが声優になりたいそうなんだけど何かいい方法ある?」みたいなことを言われ、「職業として勧められないですし、プロとして食べていくのはほぼ無理なので止めた方がいいですよ」と答えるという出来事がありました。

私は声優さんへのインタビューや声優科のある学校へ何度も取材に行った経験から「特別な才能がある人間だけが一人前の声優になれる」という確信めいたものを持っています。声優を目指すということは、ほぼ勝てる見込みのないギャンブルに手を出すことに近いものなのです。声優を目指す人達(主に学生)も心の底では薄々気付いていると思うのですが、夢見がちな若者の心はなかなかそれを認めることができないのもまた事実。

志望者が後を絶たないのは「もしかしたら私もなれるかも知れない」と思わせる要素があることが影響していると思います。声のお仕事なので容姿は関係なさそうですし、演技も頑張ればなんとかなりそうに思われている風潮があります。

声優といっても、実際は芸能人なのですから容姿は重要ですし、演技という技術も簡単に身に付くものではありません。声優を志すうえでは厳しい現実を認識した上でチャレンジしていただきたいと切に願う次第であります。

どうしても声優を目指したい人への参考資料として、成功例を以下にいくつか書いてみます。種類は大きく分けて4種類に分類しましたが、これ以外にも声優として活躍する道はありますので、あくまで代表例として見てくださいね。

1:養成所出身
<例>:緑川光、緒方恵美、三石琴乃、金田朋子、生天目仁美

ここでいう「養成所」とは、入所するためのオーディションを受ける必要のある場所のことを指します。お金を出せば入れる各種学校の声優科を卒業後、活躍している声優は確かに多いのですが、よく調べてみると卒業後に別の養成所に入って訓練を受けているケースがほとんどだったりします。このことからも演技を身につけることや声優として世に出ることがどれだけ難しいかがわかると思います。

声優科のある学校の宣伝文句に「在学中にデビューが可能!」というフレーズが使われているのをよく見かけますが、仮にデビューできたとしてもその役はセリフの少ない端役がほとんど。卒業後プロとして活躍できるという保証はありませんので注意が必要です。

将来の保証が確保されてはいないということでは養成所出身者も同じですが、選ばれた者同士が集まる環境の中で身につける演技が大きな武器になるのは確か。プロの声優になるためには運も必要ですが、実力がなければお話しになりませんのでレッスンの密度は濃いほうが有利です。個人的にはプロになる前段階の養成所に入ることができない時点で声優を職業にすることは考え直すべきだと思っています。

2:子役出身
<例>:池田昌子、野沢雅子、古谷徹、宮野真守、平野綾

劇団に入団後、子役として活躍しながら声優の仕事をするようになったという人も結構います。これは親が子供を劇団に入団させて本人の意思とは無関係にいつの間にか芸能活動をしていたというケースがほとんど。これは本人の資質もさることながら親御さんの全面的なサポートがあってこそ成り立つパターンといえます。

3:舞台俳優出身
<例>:大塚周夫、納谷悟朗、野沢那智、田中真弓、朴ロ美

大御所の声優に多いのがこのパターン。昔は舞台では喰えないので仕方なくアルバイト的にやっていたという側面もあったようです。声優の社会的地位の上昇に伴い、声優は舞台俳優よりも下の仕事というかつての認識はなくなっています。舞台出身の声優は演技力が高いと評される場合も多く、その影響もあってか最近は声優が積極的に舞台の世界に取り組むという動きも盛んになってます。

4:歌手出身
<例>:戸田恵子、太田貴子、飯島真理、桃井はるこ、水樹奈々

これはやや特殊なケースですが、歌手も声優も“声”が商売道具という点では一致しているのであえて挙げてみました。中でも戸田恵子さんがアイドル演歌歌手「あゆ朱美」であったことはつとに有名です。声優デビューでいきなり主役級の役をゲットすることもあります。太田貴子さんの「クリィミーマミ」、飯島真理さんの「リン・ミンメイ」あたりがその代表例といえるでしょう。

1〜4のほかにも元機動隊の若本規夫さん、元電通マンの永井一郎さん、元雑誌モデルの小林ゆうさんなど、声優とは無縁の職業からの転身といったケースもあります。
声優になるための方法は様々ですが、本気で目指すならばあらゆるリスクを承知の上でワンチャンスをモノにする実力を身につけることが重要です。本気で何かを学んだ経験はその後の人生においても役立ちますが、中途半端な姿勢は時間を無駄にするだけですのでご用心を。

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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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