パンや麺からコメにシフト カレー、ふりかけ、「丼のもと」絶好調
レトルトカレーやレトルトの「丼のもと」、お茶漬けの売れ行きがが絶好調でメーカー各社を驚かせている。小麦の価格高騰で、パンや麺類の値段が上がり、コメに値ごろ感が出てきたためだ。それに加え、ガソリン価格高騰でファミリーレストランや外食チェーンなどから客足が遠のき、「家庭で手軽に食べられる」インスタント商品が驚異的な伸びを示しているのだ。
「丼のもと」がなんと29%も増えた
「非常に驚いている。この好調さは最近で経験したことがない」
驚きを隠さないのはハウス食品の広報担当者だ。同社によれば2008年4〜6月のカレールーの出荷量が前年同期比で5%増え、レトルトカレーは同で20%増えた。もともとレトルトカレー市場はあまり変動がないといわれ、2割の伸びを示すのは異例の事態だ。
最近では、小麦粉の価格高騰が原因で、パンや麺といった商品の値上げが相次いでいる。なかでも、値ごろ感があったカップめんも08年1月にメーカー各社が相次いで15円ほど値上げしたため、苦戦を強いられている。カップめんが170円前後に対し、レトルトカレーには低価格のもので130円前後のものもあり、パンや麺からコメに消費が移っているようなのだ。
「米飯シフトが起きている。その中で、手軽にご家庭で楽しめる食品の代表選手がカレーということだと思う」
とハウス食品の広報担当者は見ている。
エスビー食品の4〜6月の売上高を見ると、カレールーが前年同期比3%、レトルトカレーが同11%増加した。さらに、ご飯にかけて牛丼や中華丼などが楽しめる「丼物のもと」が29%も増えた。「あっためてご飯にかけるだけで満腹感が得られる」(同社)手軽さがウケけている。
外食から「我が家で」という傾向になった
永谷園でも似た傾向が目立つ。チャーハンのもとの売上高が2〜6月で前年比で1割近く増えたほか、お茶漬けのもとも2割増えた。2月にお茶漬けのもとの新商品を投入したのと、「ガソリン価格高騰で外食をしていた方が家で食べようという傾向になったため」(同社広報)と見ている。
日本フードサービス協会が2008年7月25日に発表した外食産業市場動向調査によれば、08年6月の外食の売上は、前年同月を0.8%下回り、3か月連続のマイナス。要因としては、食品値上げのほかにガソリン価格の高騰で車での外食を控える動きが強まっていることが挙げられる。実際、和食のファミリーレストランでも売上、客数ともに前年割れしており、単純に「米飯回帰」というわけではなさそうだ。
「外食を控えて家で食事をするにしても、家庭で手間のかかる食事を作る傾向はそれほど強くない。手間がかからないから外食に行くのであって、その外食を控えるために、家庭では手軽に作れるものが好まれるのだろう」
ある食品メーカー社員はこう分析している。
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