【世界のモバイル】iPhoneで人気の「タッチパネル」はケータイを変えていくか
メーカー同士が開発を競い合う海外の携帯電話市場。様々な形状やデザイン、インターフェースの端末が続々と登場しているが、今年はタッチパネルを採用した製品が増えそうだ。
今回は、今後の海外端末のトレンドを追ってみた。
■iPhoneの登場がタッチパネル化を加速
iPhoneの登場以降、画面を直接指先で触れて操作する“タッチパネルインターフェース”が大きな話題となっている。これまでもスマートフォン製品などは画面をスタイラスペンで操作することが可能だったが、操作のたびにペンを取り出すのは若干の煩わしさがあった。またペン先での操作を前提としているために指先で操作するには爪の先などを使わねばならなかったのだが、これに対してiPhoneが採用した技術は指先でタップする、なぞる、といった指で直感的に操作できるのが特徴だ。スタイラスペンの利用ができないため高速な手書き文字入力は若干使いずらくなっているようではあるが、指先で画面上をいじるだけで全操作が行えるという使いやすさは他社の端末には無いiPhoneならではの大きな特徴だ。
このためiPhoneユーザーの多くはその操作体系の虜になっており、世界各国でiPhoneが発売されるや否や熱狂的なファンを生み出している。日本ではiPhoneは販売されていないが、同じユーザーインターフェース(UI)を採用したiPod Touchは発売されており、その使い勝手の良さに惚れ込んでいる利用者も多いことだろう。
ではすべての携帯電話がiPhoneライクになっていくのだろうか? 最近ではiPhoneに似た全画面タッチパネルを採用した携帯電話がほかのメーカーからも発売されている。またiPhone登場以前からもiPhoneスタイルのUIを搭載した端末はいくつか存在していた。しかしタッチパネルは操作によっては両手を使う必要があるし、片手だけの操作には限界もある。またiPhoneのサイズも携帯電話としては若干大柄だ。iPhoneの機能やコンセプトは確かに優れているが、「携帯電話とiPod Touchを持ち歩き、通話は携帯電話のほうが使いやすい」と考えている利用者も多くいるというのが現状だろう。
そのあたりはメーカーも考えているようで、タッチパネルUIを全面的に採用するのではなく、その優位性を従来の携帯電話に融合させたスタイルの製品がいくつか登場しはじめている。これらはメイン画面を直接タッチ操作するという「非・携帯電話」ライクなUIではなく、操作キーのほうをタッチパネル化したものだ。見た目は携帯電話そのものでもあるため、普通の携帯電話を利用するのと同じ感覚で操作できるというメリットもある。ではそれらの製品はどのようなものなのか、SamsungとLG電子の製品を紹介しよう。
■操作キーをタッチパネル化、アプリごとにメニューが変わる
携帯電話の機能が増えるにつれ、アプリケーションの操作方法は年々複雑化しているのが実情だろう。しかし携帯電話に搭載できる操作キーは左右の操作ボタンなど、多くても数個が限界だ。ましてやアプリケーションごとにショートカットキーを多数配置することは物理的に難しい。
SamsungとLG電子から発売された製品は、操作キーそのものをタッチパネルUI化し、パネル内にショートカットメニューを表示できる。さらにアプリケーションを起動するとショートカットメニューがアプリに応じたメニューに自動的に変更される。そのため通常ならば数字キーの上に存在する左右の「選択キー」が無く、タッチパネルだけで各種操作が可能なのだ。
たとえば待ち受け状態ではタッチパネル内には「メール」や「Google」など、よく利用する機能のショートカットアイコンが表示されている。ここでメニューボタンを押せば、タッチパネル内のアイコンが変わり上下の矢印キーや選択ボタンが表示されるのだ。また音楽プレイヤーを起動するとアイコンは再生や停止のボタン表示に切り替わる。
従来であれば画面の下左右に表示される「再生」「停止」といった文字を頼りに数字キーの上にある選択ボタンを押す必要があったが、これらの製品ではボタンそのものにメニューが表示されているため使いやすく、他のボタンを押してしまう間違いも無くなるというわけだ。
LG電子の製品の中にはタッチパネル部分にサムネイル写真を表示し、メイン画面に写真の拡大部分を表示させるといった機能も備えているものもある。デュアルディスプレイのように利用することが可能であり、ショートカットメニューやアイコン表示用としてだけではなく、将来は新着メールやニュースを表示するといった応用もできるかもしれない。
Samsung、LG電子ともに、これらのUIを採用した製品の端末形状はスライド型である。折り畳み形状ではこれらのUIは搭載しにくいうえ、若干使いにくいだろう。今や海外では折り畳み形状は少数派であり流行ではないのが実情だ。
売れ筋の端末のほとんどがストレートかスライド型であることから、このようなUIが生まれたとも言えそうだ。日本は折り畳み形状の端末がまだまだ主流だが、今後スライドタイプが増えていけば同様のUIを採用し、マルチ機能を持たせた端末が登場することも考えられるのではないだろうか。
■これもオススメ!海外モバイル通信コラム
・日本メーカーの活路は海外にあるか? 拡大する世界の携帯電話市場 - 2008年3月14日10時00分
・海外で手軽にパケット定額術 便利なプリペイドSIMカード活用 -2008年2月28日10時00分
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・通信キャリア連合がケータイ市場にもたらすメリット - 2008年1月31日10時00分
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山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
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■iPhoneの登場がタッチパネル化を加速
iPhoneの登場以降、画面を直接指先で触れて操作する“タッチパネルインターフェース”が大きな話題となっている。これまでもスマートフォン製品などは画面をスタイラスペンで操作することが可能だったが、操作のたびにペンを取り出すのは若干の煩わしさがあった。またペン先での操作を前提としているために指先で操作するには爪の先などを使わねばならなかったのだが、これに対してiPhoneが採用した技術は指先でタップする、なぞる、といった指で直感的に操作できるのが特徴だ。スタイラスペンの利用ができないため高速な手書き文字入力は若干使いずらくなっているようではあるが、指先で画面上をいじるだけで全操作が行えるという使いやすさは他社の端末には無いiPhoneならではの大きな特徴だ。
ではすべての携帯電話がiPhoneライクになっていくのだろうか? 最近ではiPhoneに似た全画面タッチパネルを採用した携帯電話がほかのメーカーからも発売されている。またiPhone登場以前からもiPhoneスタイルのUIを搭載した端末はいくつか存在していた。しかしタッチパネルは操作によっては両手を使う必要があるし、片手だけの操作には限界もある。またiPhoneのサイズも携帯電話としては若干大柄だ。iPhoneの機能やコンセプトは確かに優れているが、「携帯電話とiPod Touchを持ち歩き、通話は携帯電話のほうが使いやすい」と考えている利用者も多くいるというのが現状だろう。
そのあたりはメーカーも考えているようで、タッチパネルUIを全面的に採用するのではなく、その優位性を従来の携帯電話に融合させたスタイルの製品がいくつか登場しはじめている。これらはメイン画面を直接タッチ操作するという「非・携帯電話」ライクなUIではなく、操作キーのほうをタッチパネル化したものだ。見た目は携帯電話そのものでもあるため、普通の携帯電話を利用するのと同じ感覚で操作できるというメリットもある。ではそれらの製品はどのようなものなのか、SamsungとLG電子の製品を紹介しよう。
■操作キーをタッチパネル化、アプリごとにメニューが変わる
携帯電話の機能が増えるにつれ、アプリケーションの操作方法は年々複雑化しているのが実情だろう。しかし携帯電話に搭載できる操作キーは左右の操作ボタンなど、多くても数個が限界だ。ましてやアプリケーションごとにショートカットキーを多数配置することは物理的に難しい。
SamsungとLG電子から発売された製品は、操作キーそのものをタッチパネルUI化し、パネル内にショートカットメニューを表示できる。さらにアプリケーションを起動するとショートカットメニューがアプリに応じたメニューに自動的に変更される。そのため通常ならば数字キーの上に存在する左右の「選択キー」が無く、タッチパネルだけで各種操作が可能なのだ。
たとえば待ち受け状態ではタッチパネル内には「メール」や「Google」など、よく利用する機能のショートカットアイコンが表示されている。ここでメニューボタンを押せば、タッチパネル内のアイコンが変わり上下の矢印キーや選択ボタンが表示されるのだ。また音楽プレイヤーを起動するとアイコンは再生や停止のボタン表示に切り替わる。
従来であれば画面の下左右に表示される「再生」「停止」といった文字を頼りに数字キーの上にある選択ボタンを押す必要があったが、これらの製品ではボタンそのものにメニューが表示されているため使いやすく、他のボタンを押してしまう間違いも無くなるというわけだ。
Samsungが発売予定の「Soul」。アプリケーションごとに画面下のタッチパネルUI内のアイコンが変わる。 | LG電子の「KF600」。Samsungよりアイコンが多く表示できるのは対抗してか。ここに写真も表示できる。 |
LG電子の製品の中にはタッチパネル部分にサムネイル写真を表示し、メイン画面に写真の拡大部分を表示させるといった機能も備えているものもある。デュアルディスプレイのように利用することが可能であり、ショートカットメニューやアイコン表示用としてだけではなく、将来は新着メールやニュースを表示するといった応用もできるかもしれない。
Samsung、LG電子ともに、これらのUIを採用した製品の端末形状はスライド型である。折り畳み形状ではこれらのUIは搭載しにくいうえ、若干使いにくいだろう。今や海外では折り畳み形状は少数派であり流行ではないのが実情だ。
売れ筋の端末のほとんどがストレートかスライド型であることから、このようなUIが生まれたとも言えそうだ。日本は折り畳み形状の端末がまだまだ主流だが、今後スライドタイプが増えていけば同様のUIを採用し、マルチ機能を持たせた端末が登場することも考えられるのではないだろうか。
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山根康宏
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